“名曲が名曲のまま届かない”現象を、元ネタから整理する
- ニコニコ動画で生まれた「風評被害曲」を一覧で把握する導線
- どの動画・ネタが“連想の固定化”を起こしたかを元ネタ付きで追う
- 初見でも置いていかれないよう、定義→代表9曲→ジャンル別の順で読む設計
インターネット上で特定の動画やネタと結びつけられ、本来のイメージとは異なる文脈で知られるようになった「風評被害曲」。
この記事では、特にニコニコ動画の文化を中心に広まった有名な風評被害曲を一覧で紹介します。
なぜその音楽がネタにされるようになったのか、元ネタを交えながら解説していくので、ネットミームの背景を知りたい方はぜひご覧ください。
ネットミームで本来のイメージが変化した「風評被害曲」とは?

曲の評価が変わるのではなく、“文脈”が上書きされる
- BGM利用・空耳・コメント文化が合流すると、曲名がトリガー化する
- 否定だけでなく、共通言語・参加型の遊びとして広がる面もある
- まず定義を固めると、後半の曲紹介がブレない
風評被害曲とは、特定の動画やインターネット・ミームでBGMとして使用された結果、元の楽曲が持つイメージとはかけ離れた印象が定着してしまった音楽を指す言葉です。
主にニコニコ動画のMAD動画文化から生まれ、コメントやSNSで楽曲名が挙がるだけで、関連するネタが連想されるようになります。
必ずしも否定的な意味合いだけではなく、元ネタを知るユーザー間の共通言語として、あるいは新たな魅力の発見として楽しまれている側面も持ち合わせているのが特徴です。
【打線組んだ】特に有名な風評被害曲9選を元ネタと共に紹介
「打線」で並べると、強い順に“連想力”が見える
- 元ネタ動画が強い曲ほど、イントロだけでネタが立ち上がる
- MAD/踊ってみた/弾幕など、拡散装置の種類が曲ごとに違う
- 9曲を軸にすると、他の風評被害曲も芋づるで理解できる
ネット上では、特に印象が強い風評被害曲を野球の打線に見立てて「打線組んだ」という形式で紹介されることが頻繁にあります。
ここでは、その中でも特に代表的とされる楽曲を9つ選び、風評被害の元凶となった動画や経緯を解説します。
多くの人が一度は耳にしたことがあるであろう名曲が、ニコニコ動画などのプラットフォームでどのように扱われ、現在のイメージに至ったのか、その背景にある音楽とネタの歴史を紐解いていきます。
1番:September|特定の時期に必ずネタにされる定番曲
Earth,Wind&Fireによる1978年の世界的なヒットソングです。
この音楽が風評被害を受けるきっかけとなったのは、ニコニコ動画に投稿された、海外のパーティーで踊る男性の映像にこの曲を合わせたMAD動画でした。
特に「Doyouremember?」という歌詞が空耳で「D.Oさんメンバー」と聞こえることや、9月になるとこの動画を思い出すという文化が定着。
毎年9月には関連動画が多数投稿され、秋の訪れを告げる風物詩としてニコニコユーザーに親しまれています。
2番:バラライカ|全ての元凶ともいえる伝説的動画
元はアニメ『きらりん☆レボリューション』の主題歌として、月島きらりstarring久住小春(モーニング娘。)が歌う楽曲です。
風評被害の元凶は、ニコニコ動画初期に投稿された、アニメの映像に合わせて男性2人組が歌い踊るMAD動画です。
この動画は強烈なインパクトから爆発的に広まり、「風評被害曲」という概念を決定づけた伝説的な存在となりました。
今では曲のイントロが流れるだけで、多くの人が元ネタの動画を連想するほど影響力のある音楽です。
3番:新宝島|シュールなダンスMADから一気に拡散
サカナクションが2015年にリリースした楽曲で、映画『バクマン。』の主題歌です。
この曲のイメージを大きく変えたのは、YouTubeやニコニコ動画に投稿された、お笑い芸人なかやまきんに君の素材を使い、シュールなダンスを踊らせるMAD動画でした。
元のMVが持つレトロで芸術的な雰囲気とは全く異なる、コミカルな印象が拡散。
特にサビ部分の独特なダンスは多くの派生動画を生み出し、TikTokなどでも流行したことで、幅広い層にネタ音楽として認知されました。
4番:英雄の証|狩猟BGMがまさかの使われ方で話題に
人気ゲーム『モンスターハンター』シリーズの象徴的なメインテーマであり、雄大で勇ましいオーケストラ音楽です。
この楽曲は、ニコニコ動画で人気を博した特定の動画シリーズにおいて、あるシーンのBGMとして多用されたことから風評被害を受けました。
壮大な音楽と、動画の内容のシュールなギャップが笑いを誘い、ネット上では「あのBGM」として定着。
ゲームファンからは悲鳴が上がりつつも、ネタとして広く受け入れられています。
5番:スカイハイ|プロレス入場曲がなぜかネタの的に
イギリスのバンド、ジグソーが1975年に発表した楽曲で、日本ではプロレスラーのミル・マスカラスの入場テーマ曲として絶大な知名度を誇ります。
この音楽も「英雄の証」と同様に、「真夏の夜の淫夢」関連の動画で特定のシーンのBGMとして使用されたことで、全く新しいイメージが付与されました。
プロレスファンが持つ熱い闘いのイメージとは裏腹に、ニコニコ動画などでは特定のキャラクターを象徴する曲として扱われ、コメント欄が元ネタに関する語録で埋め尽くされることも少なくありません。
6番:ビッグブリッヂの死闘|名作ゲームのBGMがネタ動画で頻出
スクウェア(現スクウェア・エニックス)のRPG『ファイナルファンタジーV』で、ボスキャラクター・ギルガメッシュとの戦闘時に流れるBGMです。
緊迫感と高揚感を併せ持つ屈指の名曲として知られます。
ニコニコ動画では、その汎用性の高さから様々なジャンルのMAD動画で「決戦」や「盛り上がる場面」のBGMとして頻繁に使用されました。
特定の元ネタというよりは、数多くの動画で使われた結果、「ネタ動画でよく流れる音楽」というイメージが定着した、風評被害の優等生的な存在です。
7番:ナイト・オブ・ナイツ|原曲を凌ぐ知名度となったアレンジ曲
同人音楽サークル「COOL&CREATE」が制作した「ナイト・オブ・ナイツ」は、同人ゲーム『東方Project』の楽曲「フラワリングナイト」のアレンジ曲です。ニコニコ動画の「演奏してみた」カテゴリで、ピアニストのまらしぃが「ナイト・オブ・ナイツ」の演奏動画を投稿しており、その人気獲得に貢献したと考えられます。その後、多くのMAD動画や音MADの素材として使用され、アレンジ曲でありながら原曲を凌ぐほどの知名度を持つに至りました。
ネット音楽文化を代表する一曲となっています。
8番:コネクト|本編の衝撃展開で歌詞の印象が激変
ClariSが歌う、アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』のオープニングテーマです。
放送当初は希望に満ちた明るいポップソングとして聴かれていました。
しかし、アニメ本編の第3話で描かれた衝撃的な展開をきっかけに、歌詞に込められた本当の意味が考察されるようになります。
作品のダークな世界観が明らかになるにつれて、この音楽の聴こえ方が180度変化してしまいました。
ニコニコ動画では、この展開に関連するシーンのMADで多用され、視聴者にトラウマを植え付けた風評被害曲として知られます。
9番:Help me, ERINNNNNN!!|一度聴くと耳から離れない中毒性
こちらも「COOL&CREATE」による東方Project楽曲「竹取飛翔~Lunatic Princess」のボーカルアレンジ曲です。
ニコニコ動画の黎明期に投稿され、その中毒性の高いメロディと「えーりん!えーりん!」というキャッチーな掛け声で一世を風靡しました。
数多くのMAD動画や手描きアニメーションが作られ、「Nsen」などのサービスではこの音楽が流れ始めるとコメントが一体感に包まれるのが恒例行事。
「中毒になる動画」シリーズの代表格であり、ニコニコ文化を象徴する音楽の一つです。
まだまだある!ジャンル別で見る風評被害曲リスト
ネタ化しやすいのは、使い回せる“強いBGM”から
- ゲーム音楽:場面転換・盛り上げに刺さり、汎用BGM化しやすい
- アニメ/ボカロ:歌ってみた・踊ってみたで派生が増えやすい
- CM/J-POP:空耳・一発ネタで認知が一気に跳ねる
これまで紹介した9曲以外にも、ネット上には数多くの風評被害曲が存在します。
ここでは、ゲーム音楽、アニメ・ボーカロイド、CMソング・J-POPの3つのジャンルに分けて、代表的な楽曲をリスト形式で紹介します。
ニコニコ動画をはじめとするプラットフォームで、これらの音楽がどのような経緯でネタとして定着したのか、その多様な背景を知ることで、ネット文化の奥深さに触れることができるでしょう。
ゲーム音楽から生まれた風評被害曲
ゲーム音楽は、印象的なメロディや特定の場面との結びつきが強いため、風評被害曲の宝庫となっています。
『ポケットモンスター』シリーズの「戦闘!トレーナー」は、特定の動画シリーズで日常シーンのBGMとして使われたことでほのぼのとしたイメージが定着しました。
また、『ロックマン2』のワイリーステージBGMをアレンジした「エアーマンが倒せない」や、『Undertale』の「MEGALOVANIA」なども、ニコニコ動画の文化の中で新たな文脈を獲得した代表的な音楽です。
アニメ・ボーカロイド発の風評被害曲
アニメソングやボーカロイド音楽も、風評被害と隣り合わせのジャンルです。
アニメ『がっこうぐらし!』のOP「ふれんどしたい」は、本編の壮絶な内容とのギャップから大きな衝撃を与えました。
また、ボーカロイド曲では、特定の振り付け動画がきっかけで有名になった「おちゃめ機能」や、アニメ『化物語』のOPでありながら多様なMAD動画が作られた「恋愛サーキュレーション」などが挙げられます。
これらはニコニコ動画の「歌ってみた」「踊ってみた」文化とも密接に関連する音楽です。
CMソングやJ-POPにも存在する風評被害曲
テレビCMで使われた楽曲や誰もが知るJ-POPの中にも、風評被害の対象となった音楽は少なくありません。
イスラエルの乳製品メーカーのCMソング「ישלנותיש」は、空耳から「てぃんこー」という愛称で呼ばれ、ニコニコ動画で大流行しました。
また、TM NETWORKの「Get Wild」は退勤時に聴く曲として、レミオロメンの「粉雪」はサビの歌い方がネタにされるなど、元の文脈を離れてネットミームとして消費されています。

風評被害曲をまとめて聴けるYouTube・サブスクのプレイリスト
聴き比べると、“元の顔”と“ネタの顔”が分離できる
- プレイリスト検索は「風評被害曲」「ネットで流行った曲」が入口
- コメント欄を見ると、どの連想が固定化したかが一発でわかる
- 作業用に流すより、“元ネタ確認→原曲回収”が満足度高め
紹介してきた風評被害曲をまとめて聴きたい場合、YouTubeやSpotify、AWAといった音楽配信サービスが便利です。
各サービスで「風評被害曲」「ネットで流行った曲」などのキーワードで検索すると、有志によって作成されたプレイリストが多数見つかります。
作業用BGMとして流し聴きするのも良いですし、コメント欄を見ながら元ネタを思い浮かべて楽しむのも一興です。
ニコニコ動画の公式プレイリストなども存在するため、懐かしい音楽に浸ってみてはいかがでしょうか。
風評被害曲に関するよくある質問
初見がつまずく3点は、ここで回収して前に進む
- 「風評被害曲」の意味=曲そのものより“文脈のズレ”の話
- ネガティブ一辺倒ではなく、愛のあるイジりとして機能する場合もある
- “一番ひどい”は主観なので、元ネタの強さで判断軸を置く
ここでは、風評被害曲という言葉やその背景について、多くの人が抱く疑問に答えていきます。
ニコニコ動画などのネット文化に馴染みがない方でも理解しやすいように、言葉の意味や使われ方、代表的な音楽について簡潔に解説します。
そもそもネットで言う「風評被害曲」ってどういう意味ですか?
本来の楽曲が持つイメージとは無関係に、ネット上のネタ動画などで使われた結果、別の面白おかしいイメージが定着してしまった音楽のことです。
主にニコニコ動画のMAD文化から生まれ、必ずしも悪い意味ではなく、ネットユーザー間の共通言語として楽しまれています。
「風評被害」はネガティブな意味で使われている言葉ですか?
必ずしもネガティブな意味ではありません。
本来の意味では否定的ですが、ネット上では「名曲なのに面白いネタのせいで真面目に聴けない」という愛情のこもったツッコミや、一種のユーモアとして使われることが大半です。
むしろ知名度向上に繋がった側面もあります。
一番ひどいと言われる風評被害曲はどれですか?
一概には言えませんが、「バラライカ」や「英雄の証」がよく挙げられます。
これらは非常に有名な元ネタ動画が存在し、楽曲とネタの結びつきが極めて強いためです。
どの音楽を「一番ひどい」と感じるかは、個人の知っているネタやコミュニティによって異なります。
まとめ
曲を覚えて、ネット文化の“拡散の仕組み”も持ち帰る
- 風評被害曲は、BGM利用→コメント→派生で連想が固定化した結果
- ニコニコ動画文化は、視聴者参加(弾幕・合いの手)が定番化を加速
- 元ネタを知ると、名曲が“名曲として”聴き直せる
この記事では、ネットミームによって本来のイメージとは異なる意味合いを持つようになった「風評被害曲」について、その代表例や元ネタを解説しました。
これらの楽曲は、ニコニコ動画を中心とした動画共有サイトの創作文化の中で生まれ、多くのユーザーにとって共通の思い出や笑いの対象となっています。
単なるネタとしてだけでなく、ネット文化が音楽の楽しみ方をいかに多様化させたかを示す興味深い事例と言えるでしょう。


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