風評被害は犯罪!名誉毀損などデマ流布で問える刑罰と法律

インターネット上での誹謗中傷やデマの流布といった風評被害は、単なる迷惑行為ではなく、刑法によって罰せられる可能性がある違法な行為です。
書き込まれた内容によっては、名誉毀損などの犯罪が成立し、加害者に刑罰が科されるケースも少なくありません。

どのような書き込みが法律上の問題となり、いかなる罪に問えるのかを理解することは、被害回復に向けた第一歩となります。
この問題に適切に対処するためには、関連する法律や刑罰について正しい知識を持つことが不可欠です。

“違法”の判断は、感情ではなく「要件」で決まる

  • 何罪に当たるかで、集めるべき証拠が変わる
  • 争点は「事実の有無」ではなく「摘示の有無」「公共性」など
  • 先に分類できると、対応の最短ルートが見える
目次

ネットの風評被害で刑事罰の対象となる4つの犯罪

まずは“4分類”で迷子を防ぐ

  • 事実を示した → 名誉毀損の土俵
  • 事実なしの罵倒 → 侮辱の土俵
  • 取引・品質の嘘 → 信用毀損の土俵
  • 嘘や偽計で営業が止まる → 偽計業務妨害の土俵

ネット上での悪質な書き込みによる企業や個人への風評被害は、その内容に応じて刑事罰の対象となる犯罪に該当する可能性があります。
匿名で行われることが多いネットの誹謗中傷も、捜査によって投稿者が特定されれば刑事事件として立件され得ます。
代表的な犯罪としては、「名誉毀損罪」「侮辱罪」「信用毀損罪」「偽計業務妨害罪」の4つが挙げられます。

自身の受けた被害がどの犯罪に該当する可能性があるのかを把握することが、法的措置を検討する上で重要となります。

事実の有無を問わず社会的評価を貶める「名誉毀損罪」

名誉毀損罪は、公然と事実を摘示し、人の社会的評価を低下させた場合に成立します。
この犯罪の重要な点は、書き込まれた内容が真実か虚偽かを問わないことです。

たとえ内容が事実であっても、個人のプライバシーや社会的な評価を不当に貶めるものであれば罪に問われる可能性があります。
過去の判例や事例を見ても、「A社は脱税している」といった虚偽の投稿はもちろん、「B氏は過去に逮捕歴がある」などの事実を暴露する行為も、公共の利害に関わらない限り名誉毀損と判断されることがあります。
刑罰は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金と定められています。

具体的な事実を示さず相手を侮辱する「侮辱罪」

侮辱罪は、具体的な事実を挙げることなく、公然と他人を侮辱した場合に成立する犯罪です。
名誉毀損罪との大きな違いは、「事実の摘示」があるかどうかという点にあります。
例えば、「バカ」「無能」「気持ち悪い」といった抽象的な表現で相手を罵倒する書き込みがこれに該当します。

近年、インターネット上での誹謗中傷が社会問題化したことを背景に、侮辱罪の法定刑は厳罰化されました。
これにより、1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料が科される可能性があります。

嘘の情報で経済的な信用を失わせる「信用毀損罪」

信用毀損罪は、虚偽の情報を流布して、他人の経済的な信用を傷つけた場合に成立します。
ここでの「信用」とは、主に支払い能力や支払い意思といった経済的な側面のほか、提供される商品やサービスの品質に対する社会的な信頼も含まれます。
例えば、「あの飲食店の食材は産地偽装されている」といった嘘の情報をネット掲示板やSNSに書き込む行為が典型例です。

こうしたデマがニュースやメディアで拡散されると、企業の存続に関わる甚大な被害につながることもあります。
刑罰は3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

虚偽の情報で業務の遂行を妨害する「偽計業務妨害罪」

偽計業務妨害罪は、人を欺く、あるいは人の錯誤や不知を利用するといった「偽計」を用いて、他人の業務を妨害した場合に成立する犯罪です。
ネット上での行為としては、特定の企業に対して「商品に異物が混入していた」と嘘の情報を拡散したり、飲食店に大量のいたずら予約をしたりする行為が該当します。
SNSでの不適切な動画投稿がきっかけで店の正常な営業を困難にさせ、摘発に至る事件の件数も報告されています。

信用毀損罪が信用の低下を目的とするのに対し、こちらは業務そのものを妨害する点に特徴があります。

風評被害を犯罪として訴えるための具体的な5ステップ

実際に風評被害を受けた場合、冷静かつ法的な手順に沿って対処を進めることが肝心です。
加害者の刑事責任を追及し、民事上の損害賠償を求めるためには、証拠の確保から投稿者の特定、そして警察への告訴や裁判所への訴訟提起といった段階的な手続きを踏む必要があります。
これらのプロセスは、最終的に裁判などで法的な責任を問うための土台となるため、一つ一つを確実に行わなければなりません。

ここでは、風評被害を犯罪として訴えるための具体的な流れを5つのステップに分けて解説します。

ステップ1:投稿内容やURLをスクリーンショットで証拠保全する

証拠は「見える形」で残すほど強い

  • 投稿本文/日時/ID/URLが同一画面に入る形が基本
  • 画面保存+PDF保存の“二段構え”が後工程で効く
  • 削除される前提で、発見時に固定化する

風評被害への対応で最初に行うべき最も重要なことは、証拠の保全です。
問題となっている投稿はいつ削除されるか分からないため、発見したら直ちに証拠として残す必要があります。
具体的な方法としては、投稿内容、投稿日時、アカウント名やID、そしてURL全体が画面に収まるようにスクリーンショットを撮影します。

ウェブページの場合は、ページ全体をPDF形式で保存することも有効な手段です。
これらの客観的な証拠は、後の削除依頼や法的手続きにおいて、被害の事実を証明するための不可欠なものとなります。

ステップ2:サイト管理者やSNS運営者に投稿の削除を依頼する

被害の拡大を防ぐため、ウェブサイトの管理者やSNSの運営者に対し、問題の投稿を削除するよう依頼します。
多くのプラットフォームでは、権利侵害や利用規約違反を申告するための専用フォームが設けられています。
このフォームから、該当の投稿が名誉毀損やプライバシー侵害にあたることを具体的に説明し、削除を求めるのが一般的です。

ただし、削除依頼が投稿者に通知され、相手を刺激する可能性も否定できません。
そのため、証拠保全が完了する前に行うことには反対の意見もあり、慎重な判断が求められます。

ステップ3:「発信者情報開示請求」で投稿者を特定する

開示は“前より速く”なったが、準備は要る

  • 従来の二段階手続の負担を軽くする仕組みが整備
  • ただし「権利侵害の説明」と「証拠の整合」が成否を分ける
  • 早期に専門家へ相談すると、やり直しコストを減らせる
    (制度面の説明と整合)

損害賠償請求や刑事告訴を行うためには、匿名の加害者が誰であるかを特定する必要があります。
この手続きを「発信者情報開示請求」と呼びます。

従来は、まずサイト管理者等にIPアドレスの開示を求め、次にそのIPアドレスから判明したプロバイダに対して契約者の氏名や住所の開示を求めるという、二段階の裁判手続きが必要でした。
しかし、2022年10月の法改正により、これらを一体的に行える新たな裁判手続きが創設され、被害者の負担が軽減されつつあります。

ステップ4:警察署に被害届や告訴状を提出し捜査を依頼する

投稿者を特定し、その刑事責任を追及したい場合は、証拠を揃えて警察署に相談します。
その際、「被害届」または「告訴状」を提出することになります。
被害届は犯罪の事実を申告するものですが、告訴状は犯人の処罰を求める強い意思表示であり、警察に捜査義務を生じさせる効果があります。

警察が正式に事件として受理し捜査を開始するためには、提出された証拠から犯罪の成立要件が満たされていると判断される必要があります。
そのため、弁護士と相談の上で告訴状を作成することが望ましいです。

ステップ5:特定した加害者に対して損害賠償を請求する

刑事責任の追及とは別に、風評被害によって受けた精神的苦痛や、売上減少などの具体的な損害について、加害者に対して民事上の責任を問うことができます。
これが損害賠償請求です。
まずは示談交渉を試み、加害者が応じない場合には、裁判所に民事訴訟を提起します。

特定した加害者の氏名や住所をもとに、慰謝料や調査費用などを請求します。
刑事告訴が受理され、加害者が有罪となれば、その事実は民事訴訟においても被害者にとって有利な証拠として機能します。

風評被害の刑事告訴を弁護士に相談する2つのメリット

風評被害に遭うと、何から手をつければよいか分からず、精神的にも追い詰められてしまうことが少なくありません。
発信者情報の開示請求や刑事告訴といった法的手続きは専門性が高く、個人で進めるには多くの困難が伴います。

このような状況において、インターネットトラブルに詳しい弁護士へ相談することは、問題解決への最も確実な道筋の一つです。
専門家に依頼することで、法的手続きを適切に進められるだけでなく、精神的な負担を大きく軽減できるというメリットもあります。

複雑な法的手続きを迅速かつ正確に進められる

発信者情報開示請求や刑事告訴、民事訴訟といった一連の手続きには、法律の専門知識と実務経験が不可欠です。
裁判所に提出する書面の作成や、警察への告訴状の提出など、個人で行うには複雑で時間のかかる作業が多数存在します。

弁護士に依頼すれば、被害状況を法的な観点からわかりやすく整理し、証拠を精査した上で、適切な手続きを選択してくれます。
専門家が代理人となることで、手続き上のミスを防ぎ、より迅速かつ有利に解決できる可能性が高まります。

加害者とのやり取りによる精神的負担を軽減できる

風評被害の加害者と直接交渉することは、被害者にとって計り知れない精神的ストレスとなります。
相手方からの反論や心ない言葉に、さらに傷つけられることも考えられます。
弁護士に依頼することで、加害者本人やその代理人との交渉、裁判所でのやり取りなど、すべての窓口を任せることができます。

これにより、被害者は加害者と直接対峙する必要がなくなり、精神的な負担から解放されます。
安心して日常生活や事業の回復に専念できる環境を確保できる点は、非常に大きなメリットです。

自分の書き込みは大丈夫?加害者にならないために知っておくべきこと

インターネット上で気軽に他者を批判したり、不確かな情報を拡散したりする行為は、意図せず自分が加害者になる危険性をはらんでいます。
たとえ公益を図る目的の投稿であっても、その内容が真実であると証明できなければ、名誉毀損罪に問われる可能性があります。
また、内容が事実であっても、公共の利害に関わらない個人のプライバシーを暴露するような書き込みは許されません。

感情に任せて「バカ」などの暴言を書き込めば侮辱罪が成立することもあります。
投稿する前に、その表現が相手の人格や社会的評価を不当に傷つけるものではないか、一度冷静に考える姿勢が求められます。

風評被害と犯罪に関するよくある質問

ここでは、風評被害と、それが犯罪に該当するかどうかという問題について、頻繁に寄せられる質問とそれに対する回答をまとめました。
警察の捜査範囲、弁護士費用、そして刑事と民事の手続きの関連性など、多くの方が疑問に思う点について解説します。

警察は匿名の書き込みでも捜査してくれますか?

結論として、警察は匿名の書き込みでも捜査対象とします。
被害届や告訴状が受理され、投稿内容の悪質性が高く犯罪の嫌疑が十分にあると判断されれば、警察はプロバイダなどに対して捜査関係事項照会を行い、投稿者の特定を進めることが可能です。
ただし、すべての場合で捜査が開始されるわけではなく、証拠の明確さや被害の程度などが考慮されます。

弁護士に依頼した場合の費用はどれくらいかかりますか?

弁護士費用は依頼内容や法律事務所の方針によって大きく異なります。
一般的に、発信者情報開示請求で40万~80万円程度、その後の損害賠償請求で着手金と成功報酬を合わせて数十万~百万円以上かかることもあります。

多くの事務所では初回無料相談を実施しているため、まずは複数の事務所に見積もりを依頼し、費用体系について十分に説明を受けることが重要です。

刑事告訴と民事での損害賠償請求は同時に進められますか?

はい、刑事告訴と民事での損害賠償請求は、それぞれ独立した手続きであるため、同時に進めることが可能です。
刑事告訴は加害者に刑罰を科すことを目的とし、民事の損害賠償請求は金銭的な被害の回復を目的とします。
両方を並行して進めることで、刑事事件で加害者が有罪となれば、その事実を民事訴訟で有利な証拠として活用できるといったメリットがあります。

まとめ

インターネット上での風評被害は、内容次第で名誉毀損罪や侮辱罪、信用毀損罪といった犯罪に該当する違法行為です。
被害に遭った場合、泣き寝入りする必要はなく、法的な対抗手段が存在します。
具体的な対処法としては、まず投稿のスクリーンショットなどの証拠を保全し、次に発信者情報開示請求によって投稿者を特定します。

そして、特定した加害者に対して警察への刑事告訴や、裁判所を通じた民事での損害賠償請求を行う流れが一般的です。
これらの法的手続きは専門性が高いため、一人で抱え込まず、インターネットトラブルに詳しい弁護士に相談することが、問題解決への確実な一歩となります。

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この記事を書いた人

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