拡散の早さが、損害の大きさを決める
- 風評は「投稿」ではなく「連鎖」で広がる構造
- 初動の判断ミスが、炎上を“長期化”させる
- 削除・声明・特定は、順番を間違えると逆効果
SNSの普及に伴い、企業への風評被害はネット上で深刻な問題となっています。
ひとたびネガティブな情報が拡散されると、企業の信用や売上に大きな打撃を与えかねません。
この記事では、実際に起きた風評被害の事例を基に、その発生原因や企業が受けるダメージを解説します。
さらに、被害を未然に防ぐための予防策から、万が一被害に遭ってしまった場合の具体的な対処法まで、実用的な対策を網羅的に紹介します。
SNSで急増する風評被害とは?

拡散スピードが「事実確認」を追い越す瞬間がある
- 事実無根/誇張/誤解の混在で被害が成立
- “誰が言ったか”より“どこまで広がったか”が致命傷
- 正当な批判との線引きが、対応方針を左右
SNSにおける風評被害とは、X(旧Twitter)やInstagram、Facebookといったソーシャルメディア上で、企業や個人に対する事実無根の情報や悪意ある投稿が拡散され、社会的評価が低下する事態を指します。
インターネットの持つ高い拡散性により、一度投稿された情報は瞬く間に広がり、完全に削除することが困難になるケースも少なくありません。
これにより、企業のブランドイメージや売上に深刻な影響を及ぼすリスクが高まっています。
どこからがSNSの風評被害にあたるのか?
SNSの風評被害は、事実に基づかない、あるいは事実であっても公益性のない情報が拡散され、企業や個人の社会的評価を不当に貶める状態を指します。
具体的には、商品に関するデマ、従業員の不祥事に関する誇張された情報、あるいは全くの虚偽に基づくいやがらせなどが該当します。
重要なのは、発信者に悪意があるか否かに関わらず、結果として企業の信用やブランドイメージが傷つけられ、経済的な損失につながる可能性がある点です。
単なる個人的な感想や正当な批判の範囲を超え、客観的な根拠なく評判を低下させる投稿が風評被害と見なされます。
誹謗中傷との具体的な違いを解説
風評被害と誹謗中傷は混同されがちですが、意味合いが異なります。
誹謗中傷とは、特定の個人や企業に対して「バカ」「倒産しろ」といった、根拠のない悪口や人格を否定するような攻撃的な投稿を指し、個人の名誉感情を害する侮辱や、社会的な評価を低下させる名誉毀損に該当する可能性があります。
一方、風評被害は必ずしも悪意ある攻撃とは限らず、「あの会社の商品は危険だ」といった事実無根の噂や誤解が広まるケースも含まれます。
誹謗中傷は内容の真偽を問わず成立することがありますが、風評被害は主に事実ではない情報によって引き起こされる経済的・社会的な損害を指す点で違いがあります。
SNSで実際に起きた企業の風評被害事例5選
「うちも起こり得る」が、だいたい当たる
- 不祥事起点→デマ増幅で別商品まで延焼
- バイトテロ/競合の虚偽口コミ/誤解拡散が定番ルート
- 同名誤認は“無実でも燃える”代表パターン
SNS、特にX(旧Twitter)のようなリアルタイム性と拡散力が高いプラットフォームでは、日々多くの風評被害が発生しています。
ここでは、実際に企業が直面した風評被害の中から、典型的な5つの事例を紹介します。
これらの事例を通じて、どのような経緯で炎上が発生し、企業活動にどのような影響を及ぼすのかを具体的に理解することで、自社のリスク管理体制を見直すきっかけとなります。
企業の不祥事が発端となったデマ拡散の事例
過去に、ある食品メーカーが製造過程で衛生上の問題を起こした際、その事実を伝える報道に尾ひれがつき、SNS上で「他の商品にも問題がある」「会社全体で隠蔽している」といったデマが拡散されました。
企業は公式に謝罪し、問題となった商品のみの不備であると説明しましたが、一度広まった不信感は簡単には払拭できません。
このデマにより、無関係の商品の売り上げも大幅に減少し、ブランドイメージの回復に長い時間を要しました。
企業の不祥事をきっかけとする場合、初期対応の遅れや不透明さが、さらなるデマや憶測を呼び、被害を拡大させる要因となります。
従業員の不適切な投稿(バイトテロ)による炎上事例
飲食店や小売店で、アルバイト従業員が勤務中に悪ふざけをしている様子を撮影し、SNSに投稿する「バイトテロ」は、企業の信用を著しく損なう典型的な事例です。
過去には、大手牛丼チェーンの店舗で、従業員が食材で遊んだり、不衛生な行為をしたりする動画が投稿され、瞬く間に拡散されました。
この動画を見た消費者からは批判が殺到し、当該店舗は営業停止に追い込まれ、会社全体のブランドイメージも大きく毀損しました。
この種の被害は、たった一人の従業員の軽率な行動が、会社全体に計り知れない損害をもたらす危険性を示しています。
競合他社からの悪意ある口コミによる被害事例
ある飲食店が、グルメサイトやSNSで「食中毒になった」「店員の態度が最悪だ」といった事実無根のネガティブな口コミを連続して投稿される被害に遭いました。
調査の結果、これらの投稿は競合店の関係者が一般の利用者を装って行っていたことが判明しました。
このようなステルスマーケティングによる誹謗中傷は、消費者の店舗選びに直接的な影響を与え、客足の減少や売上の低下に直結します。
第三者を装った巧妙な手口であるため、被害を受けている企業側がその原因を特定し、事実を証明することが難しいという側面も持ち合わせています。
消費者の誤解から生じた商品への風評被害事例
ある化粧品メーカーが発売した新製品に含まれる成分について、一人の消費者が「この成分は有害ではないか」とSNSに投稿したことがありました。
この投稿は科学的な根拠が乏しい個人的な見解でしたが、健康への不安を煽る形で拡散され、多くの消費者が追随してしまいました。
メーカーは公式サイトで成分の安全性を説明しましたが、一度広まったネガティブなイメージを払拭することは難しく、結果として商品の売上は大きく落ち込みました。
消費者の善意や正義感からくる投稿であっても、誤解や知識不足が原因で、企業に深刻な風評被害をもたらすことがあります。
同名の別会社と間違えられたことによる被害事例
地方都市で不祥事を起こした建設会社に関するニュースが報道された際、同じ社名を持つ都内の全く無関係な企業に非難やクレームの電話が殺到する事態が発生しました。
SNS上でも、間違われた企業のアカウントに対して「反省しろ」「許せない」といったコメントが多数寄せられ、炎上状態となりました。
企業は自社のウェブサイトで「報道されている会社とは一切関係ありません」と声明を発表しましたが、誤解が解けるまでには時間を要し、その間、通常の業務に大きな支障をきたしました。
このように、自社に全く非がなくても、偶然の一致によって風評被害に巻き込まれるリスクが存在します。
なぜSNSで風評被害は発生するのか?考えられる5つの原因
原因は投稿者だけじゃない、構造で起きる
- 従業員投稿・内部告発は「信憑性が高い」扱いになりやすい
- 悪意口コミは検索面にも残り、ダメージが長期化
- 切り取り・報道・広告表現の誤解が火種になる
SNSで風評被害が発生しやすくなった背景には、そのメディア特性が大きく関係しています。
匿名で手軽に情報を発信できること、そして魅力的な情報や衝撃的なデータが瞬時に拡散される「バズ」の仕組みが、根拠のない噂やデマの温床となり得るのです。
ここでは、企業が直面する風評被害の具体的な火種となりうる5つの原因を掘り下げ、それぞれの背景にあるメカニズムを解説します。
従業員による不適切なSNS投稿や内部告発
従業員が企業の内部情報を漏洩したり、勤務中に不適切な行為を撮影してSNSに投稿したりすることが、風評被害の直接的な原因となるケースは後を絶ちません。
特に、職務上知り得た顧客の個人情報や未公開のプロジェクト情報を個人のアカウントで発信してしまうと、企業のコンプライアンス体制が問われ、社会的な信用を大きく損ないます。
また、企業への不満を持つ従業員が、事実を歪曲した内部告発を行うこともあります。
「中の人」からの発信は信憑性が高いと受け取られやすく、情報が真実であるかのように拡散してしまう危険性をはらんでいます。
ユーザーからの悪意ある口コミや低評価レビュー
競合他社や、企業に対して個人的な恨みを持つユーザーが、意図的に事実無根の悪評を投稿するケースです。
例えば、飲食店のレビューサイトに「料理に髪の毛が入っていた」と虚偽の書き込みをしたり、ECサイトの商品レビューに不当に低い評価をつけたりする行為がこれにあたります。
これらの投稿は、他のユーザーの購買意欲を削ぐだけでなく、検索結果にも表示され続けるため、長期的に企業の評判を貶めることになります。
SNS上で賛同者を得ようとする心理も働き、一つの悪意ある投稿が大きな被害に発展することもあります。
企業側の公式発表や広告表現の誤解
企業が良かれと思って発信した情報が、意図しない形で受け取られ、炎上につながることもあります。
例えば、新商品の広告表現が特定の層を差別していると解釈されたり、公式発表の内容が不誠実だと受け取られたりするケースです。
特にSNSでは、文章の一部だけが切り取られて文脈を無視した形で拡散されやすいため、発信する情報の言葉選びには細心の注意が求められます。
企業側に悪意がなくても、受け手の価値観や社会情勢への配慮が欠けていると判断されると、厳しい批判の対象となり、ブランドイメージを損なう原因となります。
事実誤認や切り取りに基づくマスコミ報道
テレビや新聞といった従来のマスコミや、影響力の大きいWebメディアが発信するニュースは、社会に大きな影響を与えます。
しかし、これらのメディアが事実確認を十分に行わずに誤った情報を報道したり、特定の意図を持って発言の一部だけを切り取って報じたりすることがあります。
一度大手メディアでニュースとして報じられると、その情報は「事実」としてSNS上で一気に拡散され、企業側が後から訂正を求めても、最初の誤った情報の印象を覆すことは非常に困難です。
このように、信頼性の高いはずのメディア報道が、風評被害の引き金になることも少なくありません。
退職者による根拠のない内部事情の暴露
会社に不満を抱いて退職した元従業員が、腹いせに企業の内部情報をSNSや口コミサイトに暴露するケースも、風評被害の典型的な原因です。
投稿される内容は、「残業代が支払われない」「パワハラが横行している」といった労働環境に関するものが多く見られます。
これらの情報には、事実無根の内容や、個人の主観によって大きく誇張された内容が含まれていることも少なくありません。
しかし、「元従業員」という立場からの告発は信憑性が高いと見なされやすく、特に就職活動中の学生などに悪影響を与え、採用活動を困難にさせる一因となります。
放置は危険!SNSの風評被害が企業にもたらす深刻なダメージ
“売上より先に”信用が削れていく
- 購買前にSNSチェックされ、離脱が増える
- ブランド毀損→取引・融資・提携にも波及
- 採用難+士気低下で、内部からも体力が落ちる
SNS上で発生した風評被害を「たかがネットの噂」と軽視して放置すると、企業の存続を揺るがしかねない深刻な事態に発展する可能性があります。
ネガティブな情報は瞬く間に拡散され、一度定着してしまった悪い評判は、売上やブランドイメージ、採用活動、さらには従業員の士気にまで悪影響を及ぼします。
ここでは、風評被害が企業にもたらす具体的な4つのダメージについて解説します。
売上低下や顧客離れに直結する
消費者は商品やサービスを購入する際、SNSや口コミサイトで評判を確認することが一般的です。
そのため、「あの商品は危険だ」「あの店のサービスは最低だ」といったネガティブな情報が拡散されると、消費者は購入をためらい、直接的な売上の減少につながります。
特に飲食店や小売店など、一般消費者を対象とするビジネスではその影響は顕著です。
また、これまで利用してくれていた既存の顧客でさえも、悪評に触れることで企業への信頼を失い、競合他社へと乗り換えてしまう「顧客離れ」を引き起こす原因にもなります。
ブランドイメージが毀損し社会的信用を失う
企業が長年にわたって築き上げてきたブランドイメージや信頼は、たった一つのネガティブな投稿によって、一瞬にして崩れ去る危険性があります。
SNS上で「ブラック企業」「製品に欠陥がある」といった評判が定着してしまうと、それを払拭することは容易ではありません。
ブランドイメージの毀損は、消費者だけでなく、取引先や金融機関からの社会的信用も失うことにつながります。
これにより、新規の取引が困難になったり、融資が受けられなくなったりするなど、事業運営そのものに深刻な支障をきたす恐れがあります。
採用活動で応募者が集まらなくなる
現代の求職者、特に若い世代は、就職活動において企業の公式サイトだけでなく、SNSや口コミサイトで「リアルな評判」を必ずチェックします。
その際に、「残業が多い」「社内の雰囲気が悪い」といったネガティブな書き込みが散見されると、多くの求職者は応募をためらうでしょう。
結果として、企業の採用活動は難航し、優秀な人材を確保することが困難になります。
採用コストが増大するだけでなく、長期的な視点で見れば、人材不足による企業の競争力低下にもつながる深刻な問題です。
従業員のエンゲージメントが低下し離職につながる
SNSの風評被害は、社外だけでなく社内にも悪影響を及ぼします。
自社に対する誹謗中傷や根拠のない悪評を日常的に目にすることで、従業員は仕事への誇りを失い、モチベーションが著しく低下します。
また、友人や家族から自社の悪評について尋ねられるなど、精神的なストレスを感じることもあるでしょう。
このような状況は、従業員のエンゲージメント(仕事への熱意や貢献意欲)の低下を招き、生産性の悪化につながります。
最悪の場合、優秀な人材が愛想を尽かして離職してしまい、組織全体の弱体化を招くことにもなりかねません。

SNSの風評被害を未然に防ぐための予防策
防火訓練がない会社ほど、燃え方が派手になる
- ポリシー整備で「やっていい/ダメ」を言語化
- 研修で“炎上の地雷”を具体例で共有
- 監視+ファンづくりで、火種を小さいうちに潰す
SNSの風評被害は、一度発生するとその対応に多大なコストと労力がかかります。
そのため、被害が発生してから対処するのではなく、日頃からリスクを管理し、被害を未然に防ぐための体制を構築しておくことが極めて重要です。
ここでは、企業が取り組むべき具体的な4つの予防策を紹介します。
これらの対策を組み合わせることで、炎上のリスクを低減し、万が一の事態にも迅速に対応できる組織作りを目指します。
SNSの利用ルールを定めたソーシャルメディアポリシーを策定する
従業員が個人でSNSを利用する際の指針となる「ソーシャルメディアポリシー」を策定し、全社で共有することが予防策の第一歩です。
このポリシーには、会社のロゴや制服が写った画像の投稿に関するルール、業務上知り得た機密情報や顧客情報の取り扱い、他者を誹謗中傷する投稿の禁止などを明記します。
また、会社の公式アカウントを運用する際のガイドラインも定め、発信する情報の内容やトーン、コメントへの対応方針などを統一しておく必要があります。
明確なルールを設けることで、従業員の軽率な投稿によるリスクを抑制できます。
全従業員を対象としたネットリテラシー研修を実施する
ソーシャルメディアポリシーを策定するだけでは不十分で、その内容が全従業員に正しく理解され、遵守されるための教育が不可欠です。
定期的にネットリテラシー研修を実施し、SNSの特性や潜むリスクについて学ぶ機会を設けましょう。
研修では、過去に実際に起きた企業の炎上事例(バイトテロなど)を具体的に取り上げ、どのような投稿がなぜ問題になるのかを考えさせることが効果的です。
役職や部署に関わらず、全従業員を対象とすることで、組織全体の危機管理意識を高め、不用意な投稿によるトラブルを未然に防ぎます。
SNS監視ツールを導入して自社の評判を常時チェックする
自社名や商品名、サービス名など、関連するキーワードがSNS上でどのように語られているかを常に把握しておくことは、風評被害の早期発見に不可欠です。
手作業でのチェックには限界があるため、専門のSNS監視ツール(ソーシャルリスニングツール)を導入するのが有効です。
これらのツールを活用すれば、24時間365日、膨大な投稿の中から自社に関するネガティブな言言及を自動で検知し、アラートを受け取ることが可能です。
問題の火種を小さいうちに発見し、迅速に対応することで、炎上による被害の拡大を防ぎます。
顧客との良好な関係を築きファンを増やす
日頃からSNSの公式アカウントなどを通じて顧客と誠実なコミュニケーションを取り、良好な関係を築いておくことも、実は強力な風評被害対策となります。
企業に対して好意的な感情を持つ「ファン」を増やすことで、万が一ネガティブな情報が流れた際に、ファンが自発的に企業を擁護するコメントを投稿してくれたり、デマを訂正してくれたりすることが期待できます。
このような第三者からの肯定的な声は、中立的な立場の人々からの信頼を得やすく、炎上の鎮静化に大きく貢献します。
地道な活動ですが、長期的に見て企業のブランドを守る大きな力となります。
もしSNSで風評被害が発生してしまった場合の対処法
最初の1時間で、勝負がほぼ決まる
- 先に事実確認、反論や削除は後回し
- 規約違反なら通報・削除導線を最短で回す
- 必要なら声明、悪質なら開示請求も視野(改正で手続き簡素化の流れ)
どれだけ万全な予防策を講じていても、SNSの風評被害に巻き込まれる可能性をゼロにすることはできません。
重要なのは、被害が発生してしまった際に、パニックに陥らず、冷静かつ迅速に適切な対応を取ることです。
初期対応の成否が、その後の被害の拡大を大きく左右します。
ここでは、実際に風評被害が発生した際の具体的な対処法を、手順を追って解説します。
まずは投稿された情報の事実確認を最優先で行う
ネガティブな投稿を発見した際に、感情的に反論したり、焦って情報を削除したりするのは最悪の対応です。
まず最初に行うべきは、投稿されている内容が事実なのか、それとも事実無根のデマなのかを客観的かつ迅速に調査することです。
社内の関係部署にヒアリングを行い、関連するデータや記録を確認するなどして、事実関係を正確に把握しましょう。
この事実確認の結果が、その後の対応方針(謝罪するのか、反論するのか、あるいは静観するのか)を決定する上での重要な判断材料となります。
初動で事実を誤認すると、対応が後手に回り、事態をさらに悪化させることになりかねません。
各SNSプラットフォームの運営に直接削除を依頼する
投稿内容が事実無根であり、名誉毀損やプライバシー侵害、著作権侵害など、各SNSプラットフォームが定める利用規約に明確に違反している場合は、運営会社に対して投稿の削除を依頼することができます。
X(旧Twitter)やInstagram、Facebookなど、ほとんどのプラットフォームには専用の通報・報告フォームが用意されています。
削除を依頼する際は、どの投稿が、利用規約のどの項目に、どのように違反しているのかを具体的かつ論理的に説明することが重要です。
ただし、プラットフォーム側が規約違反と判断しない限り、任意での削除に応じてもらえるとは限りません。
投稿者の特定(発信者情報開示請求)を検討する
悪質なデマや誹謗中傷によって具体的な損害が発生し、投稿者に対して法的な責任を追及したい場合は、「発信者情報開示請求」という手続きを検討します。
これは、プロバイダ責任制限法に基づき、SNS運営会社やインターネットサービスプロバイダに対して、投稿者の氏名、住所、IPアドレスなどの情報の開示を求める法的な手続きです。
投稿者を特定できれば、その人物に対して損害賠償請求や謝罪広告の掲載などを求める訴訟を起こすことが可能になります。
ただし、この手続きは非常に専門的で複雑なため、インターネット問題に詳しい弁護士への相談が不可欠です。
公式サイトで毅然とした態度を示すコメントを発表する
風評被害が広範囲に拡散し、多くの人の目に触れている状況では、企業として公式の見解を示すことが求められます。
投稿内容が事実無根である場合は、公式サイトやプレスリリースを通じて、その旨を明確に否定し、企業の毅然とした態度を示しましょう。
逆に、調査の結果、企業側に一部でも非があることが判明した場合は、速やかにその事実を認め、真摯に謝罪するとともに、具体的な再発防止策を提示することが信頼回復への第一歩です。
いずれの場合も、沈黙は憶測を呼び、事態を悪化させるだけです。
誠実で透明性のある情報発信が重要となります。
自分での解決が難しい場合の相談先
“詰んでから”探すと、手が遅れる
- 法的手段→ネット問題に強い弁護士が前提
- 鎮静化・監視・検索面対策→専門業者の領域
- 脅迫や業務妨害の疑い→証拠を固めて警察相談
SNSの風評被害は、対応を誤ると事態がさらに悪化する可能性があり、自社だけで解決することが難しいケースも少なくありません。
特に、法的な手続きが必要な場合や、被害が広範囲に及んでいる場合は、専門的な知識と経験を持つ外部の専門家に相談することが、迅速かつ適切な解決への近道です。
ここでは、状況に応じて頼るべき3つの主要な相談先とその役割について解説します。
法的措置を検討しているなら弁護士へ相談
投稿の削除請求や、投稿者を特定するための発信者情報開示請求、名誉毀損による損害賠償請求など、法的な手段を用いて問題を解決したい場合は、弁護士への相談が必須です。
特に、インターネット上のトラブルや風評被害対策に精通した弁護士を選ぶことが重要です。
法律の専門家として、現在の状況が法的にどのような権利侵害にあたるのかを判断し、裁判手続きを含めた具体的な解決策を提案してくれます。
また、SNS運営会社やプロバイダとの交渉も代理で行ってくれるため、企業担当者の負担を大幅に軽減できます。
投稿削除や根本解決を目指すなら専門対策業者へ相談
法的手続きだけでなく、炎上の鎮静化やネガティブな情報の拡散防止、さらにはブランドイメージの回復といった、より広範な対策を求める場合は、風評被害対策を専門に行う業者が頼りになります。
これらの業者は、24時間体制でのSNS監視、検索エンジンでネガティブな情報が目立たないようにする逆SEO対策、公式サイトでの声明文のコンサルティングなど、多岐にわたるサービスを提供しています。
被害の状況に応じて、技術的・戦略的なアプローチを組み合わせ、問題の根本的な解決を目指してくれる点が大きな特徴です。
脅迫など事件性がある場合は警察へ相談
SNS上の投稿が、単なる悪口やデマにとどまらず、「会社に火をつける」「社長を殺す」といった脅迫や、「営業を妨害してやる」といった威力業務妨害など、犯罪行為に該当する場合は、ためらわずに警察へ相談してください。
相談する際は、問題となっている投稿のスクリーンショットやURL、投稿日時などの証拠をできるだけ詳細にまとめて持参することが重要です。
最寄りの警察署にあるサイバー犯罪相談窓口に連絡し、具体的な状況を説明しましょう。
刑事事件として捜査が進めば、投稿者が逮捕され、刑事罰が科される可能性もあります。
SNSの風評被害に関するよくある質問
よくある疑問は、だいたい「費用・削除・特定」
- 費用は監視から法的手続きまで幅が大きい
- 任意削除が通らないケースは普通にある
- 匿名でも開示請求で特定の可能性(ただし専門対応が必要)
SNSの風評被害対策を検討する企業の担当者からは、多くの疑問が寄せられます。
特に、対策にかかる費用や、削除依頼がうまくいかなかった場合の次の手、そして匿名アカウントの投稿者を特定できるのか、といった点は関心の高いトピックです。
ここでは、これらの風評被害に関するよくある質問について、簡潔に回答します。
風評被害の対策費用はどれくらいかかりますか?
対策費用は、依頼内容や被害状況で大きく変動します。
専門対策業者に監視を依頼する場合は月額数万円から、投稿削除やコンサルティングを含むと数十万円以上になることもあります。
弁護士に発信者情報開示請求を依頼する場合、着手金と成功報酬で数十万〜百万円以上かかるのが一般的です。
削除依頼をしても消してもらえない場合はどうすればいいですか?
SNS運営が規約違反と認めず任意削除に応じない場合、法的な手段を検討します。
裁判所に対して、人格権の侵害などを理由に投稿記事削除の仮処分命令を申し立てる方法があります。
この手続きは専門的な知識を要するため、インターネット問題に詳しい弁護士への相談が不可欠となります。
匿名アカウントによる投稿でも犯人を特定できますか?
特定できる可能性は十分にあります。
発信者情報開示請求という法的手続きにより、SNS運営会社からIPアドレスの開示を受け、次にプロバイダに契約者情報の開示を請求します。
手続きは複雑で時間も要しますが、成功すれば投稿者の氏名や住所を特定し、損害賠償請求などが可能になります。
まとめ
守るべきは「投稿への反応」より「会社の信用回復導線」
- 風評は放置で拡大、初動の順番が命
- 予防(ルール・研修・監視)で“燃えにくい体質”へ
- 削除・声明・開示は、状況に合わせて組み立てる
SNSの風評被害は、企業の売上やブランドイメージ、採用活動に深刻なダメージを与えるため、決して軽視できない経営リスクです。
被害を未然に防ぐためには、ソーシャルメディアポリシーの策定や従業員研修といった予防策が重要となります。
万が一被害が発生してしまった場合は、迅速な事実確認を徹底し、状況に応じてSNS運営への削除依頼や公式サイトでの声明発表など、冷静な対応が求められます。
自社での解決が困難な場合は、弁護士や専門対策業者といった外部の専門家へ速やかに相談することが、被害を最小限に抑えるための鍵となります。


コメント