削除代行は非弁行為になる?頼める業務と頼めない業務の境目

削除代行は非弁行為になる?頼める業務と頼めない業務の境目
この記事でわかること
  • 弁護士法72条の3要件と、削除代行が当てはまる理由
  • 契約無効と費用返還を認めた裁判例が示す論点
  • 削除代行・逆SEO・監視で異なる法的な位置づけ
  • 見積書や営業説明で確かめたい名義と契約相手
  • 依頼済みの場合に証拠・契約・相談を進める順番

報酬を得て他人の削除請求を代行する行為は、弁護士法72条が禁じる非弁行為にあたるとした裁判例があります。業者による削除代行は違法となり得る、というのがこの記事の出発点です。

ただし、風評対策のサービスがすべて同じ扱いになるわけではありません。削除申請の代行と、逆SEOやサジェスト対策、監視・報告とでは、法律上の見られ方が分かれます。

この記事では、非弁行為の要件と罰則、判決の内容、業務ごとの線引き、依頼前の見分け方、すでに依頼した場合の動き方を順に整理します。個別の事案が適法かどうかは、最終的に弁護士へ確認してください。

検討中のサービスやすでに依頼したサービスが、記事中盤の比較表でどの業務に近いかを考えながら読み進めてください。

目次

削除代行はなぜ非弁行為といえるのか

弁護士法72条が禁じている3つの要件とは

弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で、一般の法律事件について代理や和解などの法律事務を業として扱うことを禁じています。他人のために法律事務を周旋する行為も含まれます。

整理すると、要件は次の3つです。

  • 報酬を得る目的があること
  • 法律事件について、代理・鑑定・和解などの法律事務を扱うこと
  • それを業として、つまり反復継続して行うこと

削除代行業者は、料金を受け取って複数の依頼を受けるのが通常です。そのため、争点の中心は、扱う内容が法律事務にあたるかどうかになります。

削除依頼が「法律事件」の「法律事務」にあたる理由

誹謗中傷や口コミの削除請求は、多くの場合、名誉やプライバシーの侵害を理由にサイト運営者へ削除を求める形をとります。権利侵害があるかの判断と運営者との交渉が必要になるため、法律上の主張を伴う行為と見られやすいのです。

法律事件は、訴訟になっている案件だけを指すわけではありません。権利義務に争いや疑義がある段階でも、法律事件にあたり得ます。「まだ裁判前だから」という理由で安心はできません。

なお、掲示板への削除依頼を本人が出す流れは、爆サイの依頼フォームの手順で、実際の順番に沿って紹介しています。

編集部

編集部

「自分で申請するのも問題なの?」と迷う方もいるかもしれません。本人が出す申請と、第三者が報酬を得て代理する申請は、分けて考えるのがポイントです。

違反した業者に科される罰則はどの程度か

非弁行為への罰則は弁護士法77条3号に定められており、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。

以前の記事には「懲役」と書かれているものがあります。2025年6月施行の刑法改正で懲役と禁錮が拘禁刑に一本化されたため、現在の表記は拘禁刑です。

処罰の対象になるのは、非弁行為をした側です。依頼者が一般に処罰されるわけではありませんが、不利益が生じる場面はあります。この点は後の章とよくある質問で触れます。

弁護士法77条3号の罰則
2年以下
拘禁刑
300万円以下
罰金

裁判所は削除代行をどう判断したか

契約を無効とし報酬の返還を命じた判決の要点

削除代行をめぐる代表的な判断が、東京地裁平成29年2月20日判決です。この判決は、弁護士でない業者が報酬を得て依頼者に代わり削除請求を行うことを、弁護士法72条に反すると判断しました。

そのうえで、公序良俗違反として業者と依頼者の契約を無効とし、依頼者が支払った約50万円の返還を認めています。削除請求の代理は弁護士の業務であり、業者が担える役割ではないという整理です。

契約無効という結論は、依頼者にとって大きな意味を持ちます。業者との契約が効力を持たないのであれば、支払った費用の返金を求める根拠になり得るからです。

削除できたかどうかは返還に影響するのか

この種の判断では、投稿が実際に削除されたかどうかにかかわらず、返還が認められた例があります。「消えたのだから払って当然」とは限りません。

ただし、契約の中身や経緯は事案ごとに違います。同じ結論になるとは言い切れないため、返金を考えるときは弁護士に相談して見通しを立てるのが安全です。

判決後に増えた「弁護士提携」をうたう業者の問題点

判決後は、弁護士との提携を前面に出す業者が目立つようになりました。ここで注意したいのが弁護士法27条です。弁護士は、72条に違反する者から事件の周旋を受けたり、自分の名義を使わせたりしてはならないと定められています。

業者が顧客を集めて弁護士に回す仕組みは、非弁提携として問題になる可能性があります。提携の表示があるだけでは、適法とは判断できません。

なお、行政書士など他の士業も、報酬を得る目的で削除請求の代理を扱うことはできません。肩書きがあっても、扱える範囲には限りがあります。

誰に相談すればよいか分からない段階では、法務省の人権相談窓口のような公的な窓口を入口にする方法もあります。

業者に頼める業務と頼めない業務はどこで分かれるか

左は削除申請の代行・交渉。権利侵害を主張し運営者に削除を求め、契約無効と約50万円返還の判決がある。右は逆SEO・監視・事務補助。見え方の調整や確認が中心で性質が異なるが、実態が削除請求なら問題になり得る。

風評対策の業者が提供する業務は、大きく4種類に分けられます。弁護士法72条との関係を一覧で比べてみます。

業務の種類内容72条との関係
削除申請の代行・交渉権利侵害を主張し、サイト運営者へ削除を求める問題になりやすい
逆SEO・サジェスト対策検索結果やサジェストの見え方を調整する権利主張を伴わなければ性質が異なる
監視・報告新しい投稿や口コミが出ていないか確認して知らせる情報収集が中心で問題になりにくい
本人申請の事務的補助本人が行う申請の準備や書式の整理を手伝う内容の判断や交渉に踏み込むと問題になり得る

この表は一般的な整理であり、個別の契約が適法かどうかを決めるものではありません。最終的な判断は弁護士に確認してください。

削除申請の代行と交渉は問題になりやすい

分かれ目は、権利侵害を主張して運営者に削除を求めるかどうかです。業者が自社名義や依頼者の代理として運営者に連絡し、削除の可否を交渉するなら、非弁行為と見られる可能性が高まります。

逆SEOやサジェスト対策はどう位置づけられるか

逆SEOやサジェスト対策は、検索結果やサジェストの見え方を整える施策です。特定の投稿の削除を運営者に求める行為ではないため、削除代行とは性質が異なるものとして整理されることが多いといえます。

ただし、名目が検索対策でも、実態として運営者への削除請求を代行していれば問題になり得ます。実際に何をするのかは、契約書に書かれた作業内容で確かめましょう。

検索窓に出る候補への対応方法は、サジェスト削除が認められる条件と申請手順で別に整理しています。

監視・報告や本人申請の事務的補助はどうか

監視は投稿の有無を確認して報告する業務で、法律判断を含まない範囲なら問題になりにくい部類です。本人申請の補助も、書類の整理など事務に限られるうちは問題が生じにくいと考えられます。

一方で、申請文の内容を業者が決めたり、運営者とのやりとりを肩代わりしたりすると、線を越えるおそれがあります。どこまでが事務でどこからが交渉かは、弁護士に確かめるのが確実です。

検索まわりのお悩みを相談する|無料相談フォーム

非弁の疑いがある業者を依頼前にどう見分けるか

見積書、契約書、営業時の説明には、疑いに気づく手がかりが出ます。

「削除保証」「業者名義で運営者に連絡」という説明に注意する

削除するかどうかを決めるのはサイト運営者や裁判所であり、業者は結果を約束できる立場にありません。「削除を保証します」という説明は、それだけで慎重に受け止めるべきサインです。

「当社から運営者に連絡して削除させます」という説明も、同じく確認が必要です。誰の名義で何を主張するのかを、具体的に尋ねてみてください。

営業の説明で「削除」「非表示」「対策」という言葉が混ざって使われることもあります。その場合は、言葉の印象ではなく、契約書に書かれた作業を一つずつ照らし合わせると、口頭の説明との食い違いに気づきやすくなります。

契約の相手と実際の対応者が誰かを確かめる

契約書の相手方は業者なのに、運営者に連絡するのは別の弁護士という形は、非弁提携の疑いが生じる典型例です。依頼者が弁護士と直接委任契約を結び、その弁護士が代理人として動くのかを確かめます。

提携弁護士の表示があっても、それだけでは安心できません。契約の相手と、運営者へ連絡する主体の2点を確認してください。

業務内容が契約書にどう書かれているかを読む

契約前に次の項目を見ておくと、判断しやすくなります。

  • 削除の成功を約束する文言がないか
  • 運営者へ連絡する主体と名義が書かれているか
  • 作業内容が「削除請求」なのか「検索結果の調整」なのか
  • 成功報酬と着手金の区別が明確か
  • 弁護士が関与する場合、依頼者との委任関係があるか

なお、自分自身で削除申請を出す行為は非弁行為にあたりません。問題になるのは、弁護士でない第三者が報酬を得て代理する場合です。

すでに業者へ依頼してしまったらどう動くか

依頼したあとで疑いを持った場合は、次の順で動くと整理しやすくなります。

依頼済みの場合は、この順で動きます
1
対象の投稿の内容・URL・確認日時を画面の保存などで残す
2
契約書・見積書・請求書・支払記録・業者とのやりとりを保管する
3
業者への追加の支払いや新たな契約はいったん止める
4
弁護士に相談し、返金の可否と今後の手段を検討する

投稿と契約のやりとりを証拠として残す

投稿は、削除されてしまうと内容を示せなくなります。削除される前の証拠保全を最優先にしてください。契約側の資料も、返金を求める際の根拠になります。

依頼者自身は、一般に処罰の対象ではありません。それでも、捜査への協力を求められたり、返金交渉に手間がかかったりといった不利益は起こり得ます。個別の影響は弁護士に確認しましょう。

弁護士に相談して返金と今後の手段を検討する

弁護士に相談すれば、契約無効を前提にした返金請求の可否や、削除請求・仮処分といった裁判手続の見通しを聞けます。業者が任意の返金に応じなければ、訴訟が必要になる場合もあります。

業者には、仮処分などの裁判手続を代理する権限がありません。法的な手段が必要な局面になれば、結局は弁護士の関与が欠かせません。

業者の交渉に時間を使うと投稿者を特定しにくくなる

投稿者を特定したい場合は、発信者情報開示請求を行います。ただし、通信ログの保存期間には限りがあり、その期間はプロバイダによって異なります。

業者との交渉に数か月を費やすと、その間にログが消え、投稿者を特定する機会を失うおそれがあります。開示を考えているなら、早い段階で弁護士に相談してください。

削除で対応するか見え方を整えるかをどう決めるか

削除と検索上の見え方の改善は、目的も担い手も異なります。削除は権利侵害を主張して投稿そのものをなくすことを目指すため、法律判断が必要です。見え方の改善は、検索結果やサジェストの状態を整える作業です。

権利侵害がはっきりしている投稿は弁護士への相談を優先する

事実無根の誹謗中傷や、明らかにプライバシーを侵害している投稿は、弁護士に相談して削除請求や発信者情報開示請求を検討するのが筋です。証拠保全も、弁護士と進めれば抜けが出にくくなります。

削除が難しい情報は検索結果やサジェストの見え方を確認する

事実に基づく口コミや、権利侵害とまでは言いにくい書き込みは、削除が通りにくい場合があります。そうした風評被害には、検索結果やサジェスト、関連ワードの見え方を確認し、整えていく方法もあります。

ネット評判向上ラボは、削除の代行を行う立場ではありません。検索結果・サジェスト・関連ワードの見え方を確認し、改善方針を提案する立場です。取り組みの全体像は誹謗中傷・サジェスト汚染対策の内容でご覧いただけます。

また、投稿そのものの削除が通っても、その話題がサジェストや関連ワードにしばらく残ることがあります。削除で片づける話と見え方の話は、別々に確認しておくと安心です。

投稿の性質で、相談先と手段が変わります
権利侵害がはっきりしている
弁護士に相談
削除請求や発信者情報開示請求を検討する
削除が難しい
見え方を確認
検索結果・サジェスト・関連ワードの状態を整える

営業・採用・問い合わせへの影響から優先順位をつける

情報が複数あるときは、商談や採用応募、問い合わせの件数など、事業への影響が大きいものから手を付けます。すべてを同時に消そうとするより、影響の大きい順に整理するほうが、費用も時間も無駄になりにくいのです。

業者と契約する前に、頼もうとしている業務の中身を一度書き出してみてください。前半の比較表と照らし合わせると、判断しやすくなります。

削除で対応すべきか、見え方を整えるべきか迷う場合は、現状の確認からご相談ください。ネット評判向上ラボでは、無料診断のお問い合わせを受け付けています。

まずは現在の状況をお聞かせください|無料相談フォーム

よくある質問

削除代行業者に依頼した側も処罰されますか?

処罰の対象は、原則として非弁行為をした業者側です。依頼者が一般に処罰されるわけではありません。

ただ、捜査への協力を求められる、返金交渉に手間がかかるといった不利益はあり得ます。個別の事情は弁護士に確認してください。

すでに支払った費用は取り戻せますか?

非弁行為による契約は公序良俗違反で無効とされ、削除の成否にかかわらず返還を認めた裁判例があります。ただし、業者が任意に応じなければ訴訟が必要になることもあります。

契約書と支払記録を保管して、弁護士に相談してください。

自分で削除依頼を出すのは非弁行為になりますか?

本人が自分の権利について申請するのは、非弁行為にあたりません。問題になるのは、弁護士でない第三者が報酬を得て代理する場合です。

逆SEOやサジェスト対策を業者に頼むのは違法ですか?

権利侵害を主張して運営者に削除を求める行為ではないため、削除代行とは性質が異なると整理されることが多いです。ただし、実態として削除請求を代行していれば問題になり得ます。業務の中身は契約内容で確かめてください。

「弁護士と提携している」業者なら安心ですか?

業者が事件を集めて弁護士に回す形は、弁護士法27条の非弁提携として問題になる可能性があります。提携の表示だけで判断せず、契約の相手と、実際に運営者へ連絡する主体が誰かを確認してください。

ネット評判向上ラボが選ばれる理由

ネット評判向上ラボ

ネット評判向上ラボは、ネガティブな情報を「消す」ことだけを目的にしていません。まず現状調査から始め、検索結果、サジェスト、関連ワード、口コミの表示状況を横断的に確認します。

そのうえで、削除請求など弁護士の判断が必要なものと、検索上の見え方を整えるべきものを分けて考えます。この記事で扱った非弁行為の問題も踏まえ、削除の代行は行わず、法的手続が必要な場面では弁護士への相談をお勧めしています。

どの情報が営業・採用・問い合わせに影響しているかまで整理し、優先順位をつけて進めるのが基本です。SEO・Web集客の視点を活かし、一度きりの対処で終わらせず、再発しにくい情報設計まで見据えた改善を重視しています。

できること・できないことは最初に明確にお伝えします。社内外に知られたくないセンシティブな相談にも、完全非公開運用と守秘義務に配慮して対応します。運営会社である株式会社UCWORLDも、SEO対策・Webマーケティング支援の知見を活かして検索リスクの改善を支援しています。

料金は1キーワードあたり30,000円です。まずは無料診断のお問い合わせから、現在の検索状況をお聞かせください。

この記事を書いた人

サジェスト対策・風評被害対策に5年以上携わり、SEO、リスティング広告、Web制作などWebマーケティング領域で10年以上の実務経験を持つ。

海外向け事業、中古車、医療系サービス、飲食店、BtoBサービスなど、幅広い業界でWeb集客・検索対策を担当。
検索サジェストの改善、ネガティブキーワード対策、検索結果の印象改善、SEO記事制作など、企業やサービスの信頼性を守るための施策に取り組んでいる。

実務で得た知見をもとに、初めてサジェスト対策や風評被害対策を検討する方にもわかりやすく情報を届けることを大切にしている。

目次