虚偽告訴罪の時効と成立要件|刑事・民事の違いや事例・判例を解説

虚偽告訴の被害に対応するため法的手続きを検討している様子

無実を証明するだけでは終わらない——時効という「制限時間」が、被害者側にも存在する。

  • 虚偽告訴罪の刑事時効は7年、民事の損害賠償請求は3年と、それぞれ起算点も期間も異なる
  • 被害に気づいた段階でどちらの手段を優先するかを判断することが、有効な対抗策の出発点になる
  • 「勘違いによる申告」は罪に問えないため、故意の立証が加害者を追及するための最大の壁になる

身に覚えのない罪で突然警察から連絡が入り、不当な訴えに苦しんでいる方は少なくありません。
無実の人間を陥れる行為は法的に許されず、加害者に対して責任を追及する手段が用意されています。
本記事においては、虚偽告訴の時効期間や成立するための法的な条件、さらに実際の判例について詳しく解説します。

目次

虚偽告訴罪とは?他人に刑事罰を受けさせるための虚偽の訴え

虚偽告訴罪の成立要件と対抗手段を示した全体像マップ

「嘘の訴え」は被害者を苦しめるだけでなく、国の捜査権を悪用する重大な犯罪として扱われる。

  • 虚偽申告罪・名誉毀損罪とは法的性質が異なり、公務員を介して国家機関を動かす点が最大の特徴
  • 相手が実際に逮捕・起訴されなくても、嘘の申告が公務員に届いた時点で既遂となる
  • 非親告罪であるため、被害者の告訴がなくても捜査機関が独自に立件できる仕組みになっている

虚偽告訴罪は、特定の人に刑事処分や懲戒処分を受けさせる目的で、嘘の事実を申告した際に成立する犯罪です。
軽微な嘘をつく虚偽申告罪や、公然と人の社会的評価を下げる名誉毀損罪とは法的な性質が異なります。
相手を意図的に陥れようとする行為であり、国家の捜査権や裁判権を阻害する重大な違法行為として扱われます。

なお、法律用語において虚偽申告という言葉と混同されやすいですが、適用される法律や刑罰の重さが違います。

虚偽告訴罪が成立するための3つの構成要件

3つの要件の中でも「故意の立証」が最も難しく、被害者が勝訴できるかどうかの分水嶺になる。

  • 「相手を陥れる目的」「客観的な虚偽」「公務員への申告」の3点がすべて揃って初めて成立する
  • 記憶違いや勘違いによる申告は罪に問えないため、意図的な嘘であることを証明する証拠が不可欠
  • 告訴状を受理された時点で犯罪は完成しており、その後実際に捜査が進んだかどうかは問われない

相手を罪に問うためには、特定の法的な条件を満たす必要が出てきます。
虚偽告訴罪の構成要件は、大きく分けて3つの要素から成り立っています。

また、本罪には未遂という概念が存在せず、公務員に対して嘘の内容を伝達した時点で犯罪が完全に成立する点に特徴があります。
具体的な要件について順を追って確認していきます。

要件①:他人に刑事または懲戒の処分を受けさせる目的があること

犯罪を成立させるためには、単に嘘をついただけでなく、特定の相手に刑事罰や会社などでの懲戒処分を受けさせるという明確な意図が必要です。
相手を陥れて逮捕させようとしたり、職を失わせようとしたりする強い悪意が求められます。
また、本罪は被害者の告訴がなくても警察が自らの判断で捜査を開始できる非親告罪に該当します。

そのため、捜査機関が事実関係を把握すれば、独自の判断で立件に向けて動くことが可能です。
相手を不当な手段で処罰させようとする目的の有無が、極めて重要な判断基準として扱われます。

要件②:客観的な真実に反する「虚偽」の事実を申告すること

申告した内容が客観的な事実に明確に反している事実も、重要な成立条件の一つです。
全く存在しない出来事をでっち上げたり、事実を極端に捻じ曲げたりして、相手が犯罪行為を行ったかのように装う必要があります。
被害者が実際に被害に遭っていないにもかかわらず、暴行を受けたなどと嘘の供述をするケースが典型例として挙げられます。

証拠を捏造したり、存在しない目撃証言を作り出したりする行為もこれに該当します。
申告内容が真実とは異なるという明確な証明が、加害者を法的に追及するための鍵となります。

要件③:警察署など公務員に対して「告訴・告発」を行うこと

虚偽の事実を伝える相手は、警察官や検察官などの公務員でなければなりません。
友人や知人に嘘の被害を吹聴するだけでは本罪の対象外となります。
捜査機関に対して被害届を提出したり、正式に告訴状や告発状を受理させたりする行為が必要です。

公的な機関を巻き込んで不当な捜査を開始させる危険性があるため、厳しく罰せられる仕組みになっています。
公務員に嘘の事実が到達し、内容が認識された時点で既遂となるため、その後実際に捜査が行われたかどうかは問われません。

注意点:単なる勘違いや思い込みによる告訴は罪に問われない

申告した内容が結果的に事実と異なっていたとしても、本人が本気で真実だと思い込んでいた場合は犯罪になりません。
暗がりで人違いをしてしまったり、記憶違いで不正確な証言をしてしまったりしたケースがこれに当たります。
法律上、相手を陥れるという明確な故意が存在しない限り、処罰の対象には含まれません。

そのため、相手を虚偽告訴で訴える際には、加害者が最初から嘘であると認識しながら意図的に申告したことを客観的な証拠を用いて証明する作業が求められます。

【刑事】虚偽告訴罪の公訴時効は犯罪行為が終わってから7年

「7年もある」と油断すると、気づいたときには残り期間がほとんどないという事態になりやすい。

  • 時効の起算点は「無実が証明された日」ではなく「嘘の申告が完了した日」から始まる点に注意
  • 発信者特定や証拠収集に時間がかかる性質のある事件ほど、残り時効期間を常に意識する必要がある
  • 期限が過ぎると加害者を刑事罰に問う手段は完全に閉ざされるため、早期着手が最重要課題になる

法務省が公表する「刑事事件フローチャート」でも示されているように、刑事事件としての手続きには法律で定められた期限が存在し、その期間内に適切に行動することが加害者への責任追及の前提条件となります。

刑事事件として加害者の責任を問うためには、法律で定められた期間内に手続きを進める必要があります。
検察官が裁判所に起訴するための期限を公訴時効と呼びます。

虚偽告訴の場合、この期間は行為が完了した時点から計算して7年と定められています。
期間を過ぎると刑事罰を求めることが難しくなるため、早めの対応が求められます。

時効の起算点は「虚偽の告訴・告発をした日」からカウントされる

7年という期限の計算は、加害者が警察などの捜査機関に対して嘘の申告を完了した時点から始まります。
告訴状が受理された日や、被害届を提出して公務員に内容を伝えた日が具体的な起算点となります。
自分が不当に疑われていることを知った日や、無実が証明された日から計算が始まるわけではない点に注意が必要です。

長期間にわたって裁判で争っていた場合でも、当初の嘘の申告が行われた日から時計の針は進み続けているため、刑事責任を追及するまでの残り期間は常に意識しておく必要があります。

7年の時効が成立すると犯人を罪に問うことはできなくなる

定められた7年間が経過してしまうと、国家が加害者を処罰する権利が消滅します。
その後でどれほど決定的な証拠が見つかったとしても、検察官は加害者を起訴できなくなります。
つまり、相手は刑事罰を逃れてしまう結果となります。

冤罪の被害を受けた側としては非常に悔しい思いをすることになりますが、刑事裁判の仕組み上、期限を過ぎた後の処罰は不可能です。
相手を刑務所に入れるなどの制裁を望むのであれば、期限が迫る前に警察へ相談し、捜査を促すための具体的な行動を起こすことが不可欠となります。

【民事】不法行為にもとづく損害賠償請求の時効は3年

刑事と民事は「目的」も「時効の起算点」もまったく異なる——混同すると機会損失につながる。

  • 民事の時効は「損害と加害者を知った時から3年」という主観的な起算点が採用されている
  • 刑事時効が残っていても民事時効が成立していれば慰謝料請求はできず、逆もまた同様
  • 精神的ダメージで行動が遅れやすい状況だからこそ、専門家への早期相談が時効管理の鍵になる

刑事罰の要求だけでなく、金銭的な解決を図るための手段も存在します。
不当な訴えによって受けた損害に対しては、民事訴訟を通じて賠償を求めることが可能です。
この手続きにも消滅時効が設定されており、原則として3年以内に行動を起こさなければなりません。

刑事罰とは別に慰謝料などの金銭的賠償を求めることが可能

警察が相手を逮捕するかどうかにかかわらず、民事上の手続きを用いて加害者に損害賠償を請求する権利が被害者にはあります。
不当な取り調べを受けたことによる精神的苦痛に対する慰謝料や、仕事を休まざるを得なかったことによる休業損害などが請求の対象に含まれます。
また、弁護士を雇って無実を証明するためにかかった費用も、損害として認められるケースが存在します。

加害者が刑事罰を免れたとしても、民事裁判で不法行為が認められれば、法的な責任を金銭という形で果たさせることができます。

損害賠償請求の時効は「損害と加害者を知った時」から3年

金銭の支払いを求める権利の期限は、被害者が「損害が発生した事実」と「加害者が誰であるか」の両方を認識した時点から3年間と民法で規定されています。
自分が誰の嘘によって被害を受けたのかをはっきりと知った日からカウントが始まります。
刑事事件の7年とは計算の開始時期も期間の長さも異なるため、混同しないように整理しておくことが必要です。

3年という期間は想像以上に早く過ぎてしまうため、精神的な負担が落ち着いた段階で、速やかに法的な手続きに着手する体制を整えることが推奨されます。

虚偽告訴罪が問われた実際の判例・事例を紹介

事例を具体的に知ることで、「自分のケースは追及できるか」の判断精度が上がる。

  • 痴漢冤罪のでっち上げや金銭目的の虚偽申告など、悪質性が高いケースには実刑判決も下されている
  • 証拠の捏造や矛盾した証言は捜査の過程で発覚するケースが多く、加害者の意図が明らかになりやすい
  • 虚偽告訴に詐欺・恐喝が重なるケースでは量刑が大幅に重くなる可能性がある点も重要な判断材料になる

相手を陥れる目的で嘘の被害を申告し、最終的に厳しい法的措置が取られたケースは過去にいくつも存在します。
どのような行為が犯罪とみなされ、どのような結果を招いたのかを知ることで、実態をより正確に把握できます。
ここでは代表的な事例を取り上げます。

事例①:痴漢冤罪をでっち上げて虚偽の被害届を提出したケース

満員電車内などで、個人的な恨みや嫌がらせを目的として全く無関係の人物を痴漢扱いし、警察に引き渡した事例が存在します。
加害者は被害者を確実に陥れるため、衣服を自分で破るなどして証拠を捏造していました。
しかし、防犯カメラの映像や周囲の目撃証言から不自然な点が次々と浮上し、最終的に被害者の無実が証明されています。

その後、嘘の供述を行っていた加害者は虚偽告訴の容疑で逮捕され、実刑判決を受ける結果となりました。
無実の人間の人生を狂わせる悪質なでっち上げには、厳しい処罰が下されています。

事例②:金銭目的で虚偽の性被害を申告したケース

示談金などを騙し取る目的で、合意の上での行為だったにもかかわらず、無理やり乱暴されたと警察に駆け込んだ悪質な事例も報告されています。
このケースでは、加害者が最初から相手を脅して金銭を要求する計画を立てていました。
警察の捜査が進むにつれて矛盾した証言が明らかになり、被害申告が完全に嘘であったことが発覚しています。

このような手口を用いた場合、虚偽告訴としての責任を問われるだけでなく、詐欺や恐喝といった別の重い犯罪も同時に成立する可能性が高く、加害者には極めて重い量刑が科される傾向にあります。

もし虚偽告訴の被害に遭ってしまった場合の対抗策

刑事と民事を同時並行で進める戦略が、被害回復の最速かつ最強の手段になる。

  • 刑事告訴は加害者への刑事罰が目的、民事訴訟は金銭的な補償回収が目的と明確に使い分ける
  • 警察が動かない場合でも民事裁判で不法行為を認定させることで、法的な責任を果たさせる道が残る
  • どちらの手続きも弁護士のサポートが事実上不可欠であり、早期相談が解決の精度と速度を決定づける

身に覚えのない訴えを起こされた場合、黙っているだけでは不当な不利益を被る危険性があります。
相手の嘘に対抗し、自分の名誉と生活を守るためには、適切な順序で反撃に出る準備を進めなくてはなりません。
具体的な解決策をいくつか提示します。

対抗策①:警察に虚偽告訴罪として刑事告訴する

相手に刑事罰を与えたいと考えるのであれば、加害者を警察へ告訴する手続きを進める方法が有効です。
ただし、単に「相手が嘘をついている」と主張するだけでは警察は簡単に動いてくれません。

客観的に嘘を証明できる防犯カメラの映像や、アリバイを裏付ける記録、第三者の証言といった強力な証拠を揃える作業が不可欠です。
弁護士などの専門家に依頼して証拠集めや告訴状の作成をサポートしてもらうことで、捜査機関が本格的に事案を受理し、加害者への捜査を開始する確率を大幅に高めることができます。

対抗策②:民事訴訟を起こして慰謝料や迷惑料を請求する

刑事罰の追求と並行して、あるいは刑事手続きが難しい場合でも、民事裁判を利用して損害賠償を請求する道が開かれています。
不当な訴えによって生じた精神的な苦痛に対する慰謝料、失った収入、さらには訴訟対応に要した弁護士費用等の実費を相手に請求します。
内容証明郵便を用いて直接相手に支払いを求める交渉からスタートし、応じない場合は裁判所を通じて正式に争う形となります。

金銭的な補償を確実に受け取ることで、被害によって被った実生活への悪影響を少しでも回復させる手段となります。

虚偽告訴罪の時効に関するよくある質問

ここからは、期限や成立条件に関して疑問に感じやすいポイントを整理してお答えします。
専門的な用語が多くて分かりにくい部分について、よく寄せられる相談内容をもとに簡潔に解説を加えます。

Q1. 虚偽告訴罪の時効7年はいつから数え始めるのですか?

時効の7年は、加害者が警察などの捜査機関に対して虚偽の告訴状や被害届を提出し、その申告が完了した日から計算を始めます。
無実が証明された日や被害を知った日からではないため注意が必要です。

Q2. 勘違いで間違った内容を告訴してしまった場合も罪になりますか?

本人が真実だと本気で思い込んで申告した場合は、相手を陥れる故意がないため罪には問われません。
犯罪が成立するには、客観的な事実に反すると知りながら意図的に嘘をついたという証明が求められます。

Q3. 刑事の時効が過ぎても、民事で慰謝料を請求できますか?

刑事の時効(7年)が過ぎていても、民事の損害賠償請求の時効(損害と加害者を知った時から3年)が成立していなければ慰謝料の請求は可能です。
それぞれ時効の期間と起算点が異なるため対応できます。

まとめ

時効の「種類と起算点の違い」を押さえるだけで、対抗策の選択肢と優先順位がはっきりと見えてくる。

  • 刑事時効7年は申告完了日から、民事時効3年は損害・加害者の認識日から、それぞれ独立して進む
  • 無実の証明後も検索エンジン上に残るネガティブ情報への対策が、長期的な名誉回復の最後の課題になる
  • 被害に気づいた段階で証拠を保全し、刑事・民事の両面から専門家と戦略を立てることが最善手になる

虚偽告訴は無実の人間に多大な苦痛を与える許されない行為であり、加害者に対しては刑事・民事の両面から法的な責任を追及する手段が存在します。
刑事罰を求めるための公訴時効は7年、金銭的な賠償を求めるための民事の時効は3年と定められています。
身に覚えのない訴えに巻き込まれた際は、期限が過ぎる前に客観的な証拠を集め、専門家の力を借りながら速やかに適切な対処を行うことが望ましいと言えます。

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虚偽告訴の被害に遭ったとき、刑事告訴や損害賠償請求で法的な決着をつけることは、回復への重要な一歩です。
しかし、裁判で無実が証明された後も、別の問題が静かに進行し続けます。

「氏名+事件」「会社名+疑惑」といったネガティブなキーワードがGoogleの検索サジェストや検索結果に残り続けるという現実です。

法務省の「インターネットと人権」でも示されているように、ネット上に一度広まった不当な情報は、
当事者の社会的評価を長期にわたって損ない続けます。
無実が証明された後でも、検索エンジン上では「疑惑があった人物」として刻み込まれたままになるケースは少なくありません。

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