退職者によるインターネット上での誹謗中傷は、企業の採用活動や売上に深刻な影響を及ぼす可能性があります。転職口コミサイトやSNSへのネガティブな書き込みを発見した場合、放置せずに迅速かつ適切な対応が求められます。この記事では、退職者による誹謗中傷がもたらす経営リスクから、書き込みを発見した際の初動対応、削除請求や投稿者特定といった法的対抗策、さらには再発防止策までを、実務の現場で起きやすい失敗も交えながら具体的に解説します。
本記事では、退職者による誹謗中傷への対処法について、初動対応から法的手続き、再発防止策まで順を追って解説します。
- 放置することで採用・営業・社内士気にどう影響が出るか
- 書き込みを発見した直後に「やってはいけない」初動ミスとは
- 削除申請・発信者情報開示・損害賠償の3つの法的手段の違い
- サジェスト汚染など削除では対応しにくい問題への実務的アプローチ
- 再発を防ぐための退職プロセスと社内教育の整え方
書き込みの内容や掲載媒体によって、取れる手段は大きく異なります。まずは現状を正確に把握することが、解決への最短経路です。
退職者による誹謗中傷を放置することで生じる3つの経営リスク
退職者による誹謗中傷の書き込みは、たとえ事実無根の内容であっても、一度インターネット上に公開されると多くの人の目に触れてしまいます。会社への悪評が拡散されると、企業の社会的信用が損なわれ、採用・売上・組織全体にわたって多岐にわたる経営リスクを引き起こします。これらのリスクを軽視し、対応を怠ることは事業の存続に関わる重大な問題に発展しかねません。
退職者の誹謗中傷が企業にどのようなリスクをもたらすかについて、より広い視点から整理した記事も参考になります。レピュテーションリスクとは?意味・原因と企業事例から学ぶ対策法では、誹謗中傷を含むブランド毀損のリスクと対策の考え方をまとめています。
リスク1:採用活動への支障と採用コストの増大
求職者の多くは、応募前に企業名をインターネットで検索します。その際、転職口コミサイトやSNSで「ブラック企業」「パワハラ」といった元従業員によるネガティブな書き込みが目に入ると、公式サイトを確認する前に応募をやめてしまうケースがあります。特に社名検索のサジェストに「やばい」「評判悪い」といった候補ワードが表示されている場合、求職者は検索画面だけで離脱する可能性があります。
採用担当者が面接でどれだけ丁寧に説明しても、応募数自体が減れば採用コストは増大します。求人広告の掲載期間が長引いたり、人材紹介会社への手数料が増えたりといった具体的な損失にもつながります。
編集部
採用候補者が社名を検索する瞬間は、誰も止められません。求人票を見て興味を持った人が、次に何をするかといえばほぼ確実に検索します。その画面で何が表示されているかが、応募するかどうかを分ける最初の判断材料になっています。
リスク2:取引先や顧客からの信用低下による売上への影響
企業の評判は、新規・既存の取引先や顧客との関係にも影響します。商談前に企業名を検索された際に悪評が目に入れば、取引に慎重になったり、契約が見送られたりする可能性があります。特にコンプライアンスを重視する大企業との取引では、ネット上のネガティブな評判が審査段階で問題視されるケースも実際に起きています。
顧客も同様に、悪評のある企業の商品やサービスの利用を避ける傾向があり、ブランドイメージの低下が直接的な売上減少につながることもあります。
リスク3:在籍中の従業員のモチベーション低下や離職率の悪化
退職者による誹謗中傷は、社外だけでなく社内にも悪影響を及ぼします。自社に関するネガティブな情報を在籍中の従業員が目にすることで、会社への不信感や不満が高まり、仕事に対するモチベーションが低下する恐れがあります。
また、悪評が原因で取引が減少したり採用がうまくいかなくなったりすると、現場の負担が増加します。こうした状況は労働環境の悪化を招き、新たな離職者を生むという負のスパイラルに陥る危険性もはらんでいます。
誹謗中傷の書き込みを発見した際に取るべき初動対応
退職者によるものと思われる誹謗中傷の書き込みを発見した場合、感情的になったり、慌てて行動したりするのは禁物です。将来的に法的措置を取る可能性も視野に入れ、冷静かつ計画的に対応を進める必要があります。初動対応の正確さが、その後の解決までの道のりを大きく左右します。
現場でよく起きる失敗として、感情的な反論コメントの投稿、証拠保存を怠ったまま削除申請してしまうこと、担当者一人が抱え込んで対応が遅れることなどが挙げられます。いずれも後になって解決を難しくする行動です。
スクリーンショットなどで投稿内容の証拠を確実に保存する
誹謗中傷の投稿は、いつ削除されるかわかりません。そのため、発見次第すぐに証拠として保存することが最初にすべき行動です。パソコンやスマートフォンで投稿が表示されている画面のスクリーンショットを撮影しましょう。
その際、投稿されたウェブサイトのURL、投稿日時、具体的な投稿内容が明確に写るように撮影します。可能であれば、ウェブページ全体をPDF形式で保存するなど、複数の方法で証拠を確保しておくことが望ましいです。証拠が揃っているかどうかは、後の削除申請や法的手続きで大きく影響します。
感情的に反論せず、まずは冷静に状況を分析する
事実と異なる内容や侮辱的な表現を見ると、すぐにでも反論したくなるかもしれません。しかし、投稿に対して感情的にコメントを書き込むことは、事態をさらに悪化させるリスクがあります。反論が新たな火種となって炎上したり、相手を刺激してさらなる誹謗中傷を招いたりすることも実際に起きています。
まずは冷静に、書き込まれた内容・投稿されたサイトの性質・考えられる投稿者の意図などを客観的に分析することが先決です。
社内での情報共有と今後の対応方針を協議する
誹謗中傷の問題は、担当者一人で抱え込まず、速やかに社内の関係者と情報を共有するべきです。経営層や法務・人事・広報の担当者を集め、確保した証拠をもとに事実関係を確認します。その上で、投稿を放置するのか、削除を求めるのか、投稿者を特定して法的措置を取るのかなど、企業としての方針を協議し、決定します。
必要に応じて、顧問弁護士など外部の専門家へ相談することも検討しましょう。初めての対応で何から始めればよいかわからない場合は、初めての風評被害相談|失敗しない対処法と費用・流れを解説も参考にしてください。
退職者による誹謗中傷への具体的な法的対抗策

社内での協議の結果、具体的なアクションを起こす方針が決まった場合、法的な手続きを通じて対抗することが可能です。ただし、どの手段が有効かは、掲載媒体・投稿内容・権利侵害の有無などによって異なります。まずは状況を整理したうえで、取れる手段の優先順位をつけることが重要です。
ウェブサイトやSNS運営者への削除請求手続き
多くのウェブサイトやSNSでは、利用規約で誹謗中傷などの権利侵害投稿を禁止しており、所定のフォームから削除を依頼できます。運営者が任意で削除に応じない場合でも、プロバイダ責任制限法に基づき、権利侵害が明白であると主張して送信防止措置(削除)を要請できます。それでも削除されない場合は、裁判所に対して投稿記事削除の仮処分を申し立てる法的手続きへ移行することも選択肢になります。
なお、すべての投稿が削除申請の対象になるわけではありません。掲載媒体、投稿内容、権利侵害の有無、検索エンジン側の判断によって結果は変わるため、「必ず削除できる」と期待してしまうと対応が行き詰まるケースがあります。削除が難しい場合でも、検索上の見え方を整える方法がある点については後述します。
匿名投稿者を特定するための発信者情報開示請求
転職口コミサイトや匿名掲示板への投稿で投稿者が不明な場合、「発信者情報開示請求」という法的手続きによって本人を特定できる可能性があります。まずサイト運営者に対してIPアドレスなどの開示を求め、次にそのIPアドレスから判明したインターネットサービスプロバイダに対して契約者の氏名や住所の開示を求める、という二段階の手続きを踏むのが一般的です。
ログの保存期間などの制約があるため、誹謗中傷を発見したら早急に行動を起こすことが重要です。時間が経つほど特定の難易度が上がります。
インターネット上の権利侵害に関する基本情報は、総務省の違法・有害情報相談センターも参考になります。法的判断が必要な場合は、弁護士など専門家への相談も選択肢として検討してください。
名誉毀損に対する損害賠償請求(慰謝料請求)
発信者情報開示請求によって投稿者が特定できた場合、その人物に対して損害賠償を請求できます。請求できる損害には、誹謗中傷によって受けた精神的苦痛に対する慰謝料や、ブランドイメージの低下による売上減少などの財産的損害が含まれます。
また、発信者情報開示請求にかかった弁護士費用や調査費用の一部も、損害として認められる傾向にあります。通常は内容証明郵便で請求し、相手が応じなければ民事訴訟を提起します。
悪質なケースにおける刑事告訴という選択肢
誹謗中傷の内容が極めて悪質で、企業の社会的信用を著しく毀損するような場合には、刑事告訴も視野に入ります。具体的な事実を挙げて社会的評価を低下させる投稿は「名誉毀損罪」、虚偽の情報を流して信用を損なわせた場合は「信用毀損罪」、威力を用いて業務を妨害した場合は「威力業務妨害罪」に問える可能性があります。ただし、刑事告訴を進めるためには証拠の整備が不可欠であり、事前に弁護士と相談したうえで判断することが現実的です。
専門業者による誹謗中傷対策サービスも有効な選択肢
法的措置は有効な手段ですが、時間と費用がかかる上、必ずしも望む結果が得られるとは限りません。特に、検索エンジンのサジェストにネガティブワードが表示されるサジェスト汚染は、削除申請の対象にならないケースが多くあります。
社名や採用担当者名を検索したときに「ブラック」「評判悪い」「やばい」といった候補ワードが出ていれば、商談前・応募前に離脱されるリスクが高まります。このような状況では、削除申請だけに頼らず、検索結果の見え方を整える技術的アプローチも必要になります。
ネット評判向上ラボでは、削除申請で対応できる可能性があるものと、削除が難しいため検索上の見え方を整えるべきものを分けて整理したうえで、状況に合わせた対策をご提案しています。まずは現在の検索状況と優先度を確認することが、最初のステップです。
日常的にネット上の書き込みを監視する手段として、サイバーパトロールとは?企業の目的や仕組み、監視範囲まで徹底解説も参考にしてください。
二度と繰り返さないための再発防止策
誹謗中傷の問題を解決した後は、同じような事態が二度と起こらないようにするための再発防止策を講じることが極めて重要です。問題の根本原因を分析し、社内の制度やプロセスを見直すことで、将来的なリスクを低減させることができます。退職プロセスや在職中の従業員教育など、多角的な視点から対策を検討し、健全な組織風土を醸成することが、誹謗中傷の最も効果的な予防策となります。
退職時に秘密保持に関する誓約書を確実に取得する
従業員の退職手続きの際には、秘密保持義務や誹謗中傷の禁止を明記した誓約書に署名してもらうことが有効です。この誓約書には、在職中に知り得た企業の内部情報や顧客情報を退職後も第三者に漏洩しないこと、また会社の名誉や信用を損なう行為をしないことなどを約束させます。法的な強制力に加え、このような書面を取り交わすこと自体が、安易な情報漏洩や誹謗中傷に対する心理的な抑止力として機能します。
退職手続きの場で誓約書を受け取らないまま退職させてしまうケースが実務では多く、後から「書面がない」という状況で法的対応が難しくなることがあります。
従業員の不満を解消する円満な退職プロセスの構築
退職者による誹謗中傷の多くは、在職中の不満や退職時の不適切な対応が引き金となっています。そのため、従業員が不満を抱えたまま退職することがないよう、円満な退職プロセスを構築することが重要です。退職前面談などを通じて従業員の意見に真摯に耳を傾け、不満や誤解があれば解消に努める姿勢が求められます。
誠実な対応を尽くすことで、退職後も良好な関係を保ち、ネガティブな書き込みが行われるリスクを根本から減らすことができます。
在職中からコンプライアンス教育を徹底する
在職中の従業員に対して、定期的にコンプライアンス研修や情報リテラシー教育を実施することも重要な再発防止策です。特に、SNSの私的利用に関するルールや、情報発信に伴うリスクについて周知徹底を図る必要があります。会社の機密情報や他者の名誉を毀損する情報を発信した場合に、個人がどのような法的責任を問われる可能性があるかを具体的に教育することで、従業員一人ひとりの意識を高め、不用意なトラブルを防ぎます。
ネット評判向上ラボの誹謗中傷対策による改善事例
退職者による誹謗中傷やネガティブなサジェスト表示は、専門的な対策を講じることで経営課題の改善につながるケースがあります。ここでは、対策サービスを活用して採用コストの削減や問い合わせ数の増加といった具体的な成果を上げた企業の例を紹介します。
事例1:採用単価を15,000円から10,943円に削減した建設会社のケース
東京都でとび・土木工事業を営むある企業では、アルバイト募集において採用単価の高さが課題でした。サジェスト対策とリスティング広告運用を組み合わせた施策を開始し、サービス開始から18ヶ月で採用単価を15,000円以上かかっていた状態から10,943円へと大幅に削減することに成功しました。同時に、月間の応募数も約10件から約60件へと増加し、採用効率の改善を実現しました。
事例2:問い合わせ増加で月間流入数が2.3倍になった防犯カメラ会社のケース
大阪府で防犯カメラの開発・販売を行う企業は、購入・設置に関する問い合わせの増加を目的としていました。17キーワードに及ぶサジェスト表示対策とSEO対策サポートを実施した結果、サービス開始からわずか2ヶ月でウェブサイトへの流入数が顕著に増加。対策前はデイリー平均100人だった流入数が、対策後にはデイリー平均230人へと2.3倍に向上し、見込み顧客との接点拡大に大きく貢献しました。
事例3:採用率が10%から31%に向上した警備会社のケース
千葉県に拠点を置く警備会社では、警備員の募集において採用率の低さに悩んでいました。15キーワードでのサジェスト対策とリスティング広告運用を組み合わせ、求職者への訴求内容を整理した採用専用ウェブページを用意。大手求人媒体に頼らない独自の広告運用を展開した結果、採用単価を300,000円以上から73,333円まで削減し、採用率は約10%から31%へと大幅に向上させることに成功しました。
詳しい事例は 検索リスク対策・サジェスト対策の事例はこちら でご確認いただけます。
誹謗中傷 退職者に関するよくある質問
書き込まれた内容が事実の場合でも名誉毀損になりますか?
はい、内容が事実であっても名誉毀損が成立する可能性があります。名誉毀損は、公共の利害に関わり、公益を図る目的であり、内容が真実であると証明されない限り成立するとされています。退職理由など個人的な恨みによる暴露はその要件を満たさないケースが多く、たとえ内容が事実でも名誉毀損と判断される可能性があります。ただし、法的判断は個別の事情によって異なるため、具体的な判断は弁護士など専門家への相談をお勧めします。
転職口コミサイトの匿名投稿でも本人を特定できますか?
特定できる可能性はあります。「発信者情報開示請求」という法的手続きを踏むことで、サイト運営者やインターネットプロバイダから投稿者の氏名や住所などの情報を得られる場合があります。ただし、ログの保存期間などの制約があるため、誹謗中傷を発見したら早急に行動を起こすことが重要です。時間が経つほど特定できる可能性が低くなります。
弁護士に依頼した場合の費用相場はどのくらいですか?
事案の難易度によりますが、サイトへの削除請求で10万〜30万円程度、投稿者を特定する発信者情報開示請求で50万〜100万円程度、その後の損害賠償請求でさらに費用がかかるのが一般的です。まずは法律相談を利用して、具体的な見積もりを確認することをお勧めします。法的手続き以外のアプローチ(検索上の見え方を整えるなど)が有効なケースもあるため、状況を整理したうえで判断することが大切です。
ネット評判向上ラボが選ばれる理由

退職者による誹謗中傷対策を検討するとき、「とにかく書き込みを消したい」という気持ちは当然です。しかしネット評判向上ラボが選ばれる理由は、単にネガティブな情報を「消す」ことだけを目的にしていない点にあります。
まず現在の検索結果・サジェスト・関連ワード・口コミの表示状況を横断的に確認し、どの情報が採用・営業・問い合わせに影響しているのかを整理したうえで、優先順位をつけて対策を進めます。削除申請で対応できる可能性があるものと、削除が難しいため検索上の見え方を整えるべきものを分けて判断することで、無駄なコストや過度な期待を避けやすくなります。
また、SEO・Webマーケティングの知見を活かし、単発の対処ではなく再発しにくい情報設計まで見据えた改善を重視しています。「採用候補者が社名を検索したとき何が出るか」「取引先が会社名を調べたとき何が見えるか」という実際のビジネス接点を起点に、検索の入口を整えることが営業・採用の両面で重要だからです。
社内外に知られたくないセンシティブな相談にも配慮し、できること・できないことを明確にしたうえで、現実的な対策をご提案します。運営会社である株式会社UCWORLDは、検索サジェスト対策・風評被害対策・SEO対策・Webマーケティング支援の知見を幅広く持ち、個社の状況に合わせた提案を最短翌営業日から開始できる体制を整えています。
社名・サービス名の検索に不安を感じる方は、まずは無料診断をご利用ください。
現在の検索リスクと優先度を整理したうえで、状況に合わせた対策をご提案します。

