先に押さえたい論点はここ。
- 誹謗中傷という言葉だけでは、どの犯罪になるかは決まらない
- 書き込みの内容、公開範囲、被害の出方で判断が分かれる
- 相談先と初動を知っておくと、被害拡大を防ぎやすい
誹謗中傷の犯罪成立要件とはどのようなものか、不安を抱える人は少なくありません。
ネットでの例を挙げながら、どのような書き込みが法的責任を問われるのかを具体的に解説します。
警察への相談手順や証拠の集め方についても詳しく触れ、被害に遭った際の適切な対処法をまとめました。
そもそも「誹謗中傷罪」という犯罪はない

言葉の印象より、条文の当てはめが先。
- 「誹謗中傷罪」という名前の犯罪はない
- 実際は名誉毀損や侮辱など既存の犯罪で判断される
- 感情ではなく、成立要件ごとに整理することが重要
日本の法律において「誹謗中傷罪」という名称の刑罰は存在しません。
他人の人格や名誉を傷つける発言は、その内容や状況に応じて既存の刑法犯に該当するかどうかが判断されます。
単に悪口を言われただけでは即座に犯罪が成立するわけではなく、具体的な法規定に照らし合わせる必要があります。
ネットの誹謗中傷で問われる可能性のある5つの犯罪
書き込みは、内容次第で罪名が変わる。
- 事実を書いたのか、単なる悪口なのかで分かれる
- 脅しやデマ拡散は別の犯罪に発展しやすい
- どの類型か見極めると、次の対応が決めやすい
インターネット上で他者を攻撃する行為は、内容により複数の罪に問われる可能性を秘めています。
ネットの書き込みが具体的にどのような罪になるのかを理解しておくことは、被害を防ぐ観点からも不可欠です。
ここでは、刑事罰の対象となり得る代表的な5つの罪状を取り上げます。
事実を具体的に示して社会的評価を下げると名誉毀損罪
公然と事実を摘示し、他人の名誉を毀損した場合に名誉毀損罪が成立します。
対象者の社会的評価を低下させる内容であれば、書き込まれた事実が真実であっても嘘であっても該当する点が特徴です。
「あの会社の社長は横領をしている」「不倫をしている」といった書き込みが典型的な例として挙げられます。
インターネット上の掲示板やSNSなど、不特定多数の目に触れる場所での発言は公然性を満たしやすいため、刑事責任を問われる可能性が高まります。
法定刑は3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金と定められています。
事実を示さずに相手を侮辱する書き込みは侮辱罪
具体的な事実を伴わずに公然と人を軽蔑し、辱める発言を行った場合は侮辱罪に該当します。
「バカ」「ブス」「死ね」といった単なる悪口や暴言が対象に含まれるのが特徴です。
名誉毀損罪との大きな違いは、事実の摘示があるかどうかという点に尽きます。
以前は拘留または科料のみと刑罰が非常に軽いものでしたが、法改正により厳罰化されました。
現在は1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金、または拘留若しくは科料が科される規定に変わっており、公の場での心ない一言が重い処罰の対象となっています。
相手やその親族に危害を加える内容は脅迫罪
被害者本人またはその親族の生命、身体、自由、名誉、財産に対して害を加える旨を告知した場合、脅迫罪が成立します。
「夜道に気をつけろ」「家族を殺す」「家に火をつける」といった書き込みが該当し、相手に恐怖心を与えた時点で犯罪と見なされます。
公然性の要件は不要であり、ダイレクトメッセージや非公開のメールを用いた1対1のやり取りであっても成立する点が特徴です。
匿名のアカウントから被害者に対して直接送りつけられた場合も対象となり、2年以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事罰が下されます。
嘘の情報で業務を妨害すると信用毀損罪・偽計業務妨害罪
虚偽の風説を流布し、他人の信用を失墜させるか業務を妨害した場合に成立する犯罪です。
「あの飲食店の厨房にはネズミがいる」「あの商品は産地を偽装している」といった嘘の情報をSNSで拡散する事例が該当します。
経済的な信用を傷つける行為は信用毀損罪に、デマによって電話対応に追わせるなど正常な業務を阻害する行為は偽計業務妨害罪に問われる仕組みです。
インターネット上の根拠のない噂や悪意のある捏造が発端となるケースが多発しており、法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金と規定されています。
執拗な嫌がらせで業務を妨害した場合は威力業務妨害罪
威力を用いて他人の業務を妨害する行為は、威力業務妨害罪の対象となります。
インターネット上のトラブルが現実世界に影響を及ぼし、事件へと発展するケースも少なくありません。
「イベント会場に爆弾を仕掛けた」「会社に乗り込んでメチャクチャにしてやる」といった犯行予告を掲示板に書き込む行為が代表的です。
このような投稿により、警察の出動やイベントの中止、警備の強化を余儀なくされた場合に犯罪が成立します。
嫌がらせが深刻化し、業務の平穏な遂行が脅かされた際の罰則は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
誹謗中傷の被害に遭った場合の警察への相談手順
迷ったら、まず証拠を逃さない。
- 投稿画面は日時やURLがわかる形で保存する
- 相談前に時系列を整理すると説明しやすい
- 処罰を求めるなら被害届や告訴の流れも意識する
ネット上で悪質な書き込みを受けた被害者は、速やかに警察へ相談するための準備を進めることが推奨されます。
証拠の集め方から実際の相談窓口への連絡、さらには被害届の提出に至るまで、具体的な対応の流れを整理しておくとスムーズに行動できます。
手順1:投稿内容が分かる証拠をスクリーンショットで保存する
法的措置を検討する上で、書き込まれた内容を正確に記録しておく作業が欠かせません。
該当する投稿の画面をスクリーンショットで撮影し、画像データとして保存しておきます。
SNSやTwitter、LINEなどのプラットフォームごとに、投稿日時やアカウント名、URLがはっきりと確認できるように撮影することが不可欠です。
加害者が投稿を削除してしまうと証拠が隠滅されてしまうため、発見した段階で直ちに保存作業を行うことが求められます。
印刷して紙の状態で手元に残しておくと、相談時の説明がスムーズになります。
手順2:最寄りの警察署またはサイバー犯罪相談窓口に連絡する
証拠を確保した後は、居住地を管轄する警察署の生活安全課へ足を運ぶか、電話で相談を行います。
インターネット上のトラブルに関しては、各都道府県警察に設置されたサイバー犯罪相談窓口を利用するのも一つの手です。
事前に電話でアポイントメントを取ってから訪問すると、担当者との面談が円滑に進む傾向にあります。
相談の際には、持参したスクリーンショットやURLのリストを提示し、いつ、どこで、どのような被害を受けたのかを時系列に沿って論理的に説明し、警察官に状況を正確に把握してもらわなければなりません。
手順3:加害者の処罰を求めるなら被害届や告訴状を提出する
警察に捜査を開始してもらうためには、被害届や告訴状を提出する手続きが求められます。
被害届は犯罪の事実を申告する書類であり、告訴状は加害者の処罰を明確に求めるための書類です。
名誉毀損罪や侮辱罪は親告罪に分類されるため、被害者本人の告訴がなければ起訴することができません。
警察署の担当者に状況を伝え、受理されるように書類を作成します。
告訴期間は犯人を知った日から6ヶ月以内と定められているため、期限を過ぎないよう迅速な判断と行動が不可欠となります。
警察以外に利用できる公的な相談窓口
警察だけが入口ではない。
- 相談の初動は法務局や専門窓口でも進められる
- 削除依頼の考え方を整理したいときに役立つ
- 犯罪か判断しきれない段階でも相談しやすい
警察への相談を躊躇してしまう場合や、自身の受けた被害が犯罪に該当する行為なのか不安な状況では、別の機関を活用する選択肢があります。
無料で利用できる公的な相談窓口が存在しており、専門知識を持った担当者から適切なアドバイスや情報提供を受けることが可能です。
法務省が管轄する「みんなの人権110番」
法務省の人権擁護局が設けている専用の相談電話です。
差別や虐待、ハラスメントといった様々な人権問題に加え、インターネット上の誹謗中傷に関する相談にも対応しています。
電話をかけると最寄りの法務局または地方法務局に接続され、法務局職員や人権擁護委員からアドバイスを受けられます。
情報発信者への削除要請の方法が分からない場合など、具体的な対処法についての案内を受けることができ、法的な手続きに進む前の初期の相談先として非常に役立つ機関として機能しています。
総務省が支援する「違法・有害情報相談センター」
総務省が関係機関と連携して設置・運営している相談窓口で、ネット上のトラブルに特化した支援を行っています。
ウェブサイト上の専用フォームから相談を送信すると、専門の相談員からメールで助言が返ってくるシステムです。
サイト管理者への削除依頼の方法や、発信者情報開示請求に関する法的な手続きの流れについて、専門的な見地から情報が提供されます。
書き込みの削除を最優先で希望している場合や、技術的な対応策を知りたい際に活用できる実用的なサポート体制が整っています。

刑事告訴とは別に加害者へ損害賠償を請求する方法
刑事と民事は、追及の軸が違う。
- 処罰を求めるだけでなく金銭請求も可能
- そのためには投稿者の特定が重要になる
- 示談か訴訟かで進め方も負担も変わる
相手に刑事罰を求めるだけでなく、精神的苦痛に対する慰謝料などを民事上の手続きで請求する道も用意されています。
匿名で書き込まれた場合であっても、法的な手続きを踏むことで相手の身元を割り出し、金銭的な責任を追及するプロセスが存在します。
発信者情報開示請求で投稿者を特定する
損害賠償を請求するためには、まず相手の氏名や住所を特定しなければなりません。
プロバイダ責任制限法に基づき、サイト管理者や通信事業者に対して発信者情報開示請求を行います。
IPアドレスやタイムスタンプの開示を受け、そこから利用しているプロバイダを割り出して契約者情報の開示を求めるのが通常の流れです。
法改正により新たな非訟手続きが創設され、従来よりも迅速かつ少ない負担で発信者の特定が行えるよう制度が見直されました。
この手続きは複雑なため、専門家の支援を受けながら進めるケースが主流となっています。
特定した相手方と示談交渉を行う
開示請求によって加害者の身元が判明した後は、直接または代理人を通じて交渉を開始します。
裁判を起こす前に和解を目指し、慰謝料やこれまでにかかった調査費用、弁護士費用などの支払いを求めるのが通常の流れです。
加害者側も訴訟や刑事告訴を避けたいと考えているケースが多く、双方の合意に至れば合意書を作成して解決金を受け取ります。
この段階で、今後一切の誹謗中傷を行わないことや、違反した場合の違約金について取り決めを交わし、再発を防止するための確約を得ておきます。
交渉が不成立なら損害賠償請求訴訟を提起する
相手方が話し合いに応じない場合や、提示された金額に納得できないときは、裁判所へ損害賠償請求訴訟を起こします。
裁判では集めた証拠を提出し、自身の受けた精神的苦痛や実害を立証しなければなりません。
名誉毀損による慰謝料の相場は事案の悪質性によって変動する傾向にあります。
訴訟の際には裁判所に納める印紙代などの実費がかかる点にも注意が必要です。
たとえば、請求額が30万の場合は3000円の印紙代ですが、請求額が90万円の場合は9000円が必要となるなど、金額に応じた負担が生じます。
時間と労力を要するため、慎重な判断が求められます。
誹謗中傷の加害者になってしまった場合に問われる責任
軽い投稿でも、責任は軽く終わらない。
- 刑事責任が問われれば前科につながる可能性がある
- 民事では慰謝料や調査費用の請求も起こりうる
- 匿名だから安全という考え方は危険
軽い気持ちで発信した言葉であっても、他者を深く傷つける結果となれば重い責任を負わされます。
匿名だから大丈夫だと思って書き込んだ内容が事態を引き起こし、警察からの連絡や被害者からの請求書によって初めて事の重大さに気づくケースも少なくありません。
逮捕や前科がつく可能性のある刑事上の責任
被害者から刑事告訴され、警察が捜査に乗り出した場合、加害者は刑事責任を問われる立場に立たされます。
悪質性が高く証拠隠滅や逃亡の恐れがあると判断されれば、突然逮捕されるリスクも否定できません。
書類送検された後、検察官によって起訴されると刑事裁判にかけられ、有罪判決を受ければ罰金刑や懲役刑が科されます。
刑が確定すると前科がつき、就職や結婚などの将来のライフプランに深刻な悪影響を及ぼす事態に直面します。
軽率な書き込みが、自分自身の人生を大きく狂わせる要因となります。
慰謝料や削除費用を支払う民事上の責任
刑事罰とは別に、被害者から被った損害に対する賠償請求を受けることになります。
書き込みによって生じた精神的苦痛に対する慰謝料に加え、被害者が発信者を特定するために要した調査費用や弁護士費用も請求されるのが一般的です。
これらを合計すると数百万円という高額な支払いを命じられる事例も存在します。
さらに、問題となった投稿の削除にかかる費用や、風評被害による営業損害が発生している場合は、その逸失利益の補填まで求められるなど、重い経済的負担を強いられる結果を招いてしまいます。
誹謗中傷の犯罪に関するよくある質問
ここで疑問を一度整理する。
- 匿名投稿でも特定される可能性はある
- 費用は手続きや依頼範囲で差が出やすい
- 示談で終わるかどうかは初動と対応次第
ネット上のトラブルに関して、被害者や加害者が抱きやすい疑問点についてまとめました。
匿名の仕組みや法的手続きにかかる費用、そして当事者間での解決の可能性について、分かりやすく回答しています。
匿名の掲示板での書き込みでも特定されますか?
結論として、匿名の掲示板であっても書き込んだ人物を特定することは可能です。
発信者情報開示請求の手続きを行うことで、IPアドレスからプロバイダを割り出し、その契約者情報を取得できる仕組みが整えられています。
弁護士に相談する場合の費用はどれくらいかかりますか?
結論として、依頼内容によって異なりますが、着手金と報酬金で数十万円程度かかるのが一般的です。
プロバイダへの開示請求や示談交渉など、手続きの難易度に応じて費用が変動するため、まずは無料相談で費用感を確認すると安心です。
加害者と示談で解決することは可能ですか?
結論として、加害者との示談による解決は十分に可能です。
相手の身元を特定した後に弁護士を通じて交渉を行うことで、裁判を起こさずに慰謝料の支払いや謝罪を引き出せます。
相手からの連絡を無視せず対応することが解決の鍵となります。
まとめ
判断を急がず、手順は急ぐ。
- 誹謗中傷は一つの罪名ではなく、内容で整理するテーマ
- 被害側は証拠保全と相談先の選択が初動の軸になる
- 加害側も匿名性に頼らず、法的責任を前提に考えるべき
インターネット上の誹謗中傷は、名誉毀損罪や侮辱罪などの犯罪行為に該当する危険性をはらんでいます。
被害に遭った場合は証拠を federal 的確に保存し、警察や公的な相談窓口へ速やかに連携することが解決に向けた第一歩となります。
また、加害者となってしまった際は、取り返しのつかない事態になる前に法的責任を自覚し、真摯に対応する姿勢が不可欠です。
正しい知識を持ち、冷静な対処を心がけることで、被害の拡大を防ぐことができます。
ネット評判向上ラボが選ばれる理由
誹謗中傷は、投稿そのものの削除や発信者の責任追及だけで終わらないことがあります。
実際には、掲示板やSNSの書き込みが残り続けたり、会社名や個人名を検索したときにネガティブな言葉が候補に出たりして、被害が長引くケースも少なくありません。
だからこそ大切なのは、その場しのぎではなく、検索結果全体の見え方まで含めて整える視点です。
ネット評判向上ラボでは、誹謗中傷や風評被害への対応に加え、検索サジェストや関連表示による印象悪化まで見据えて、状況に応じた整理と改善を支援しています。
警察や法務局など公的窓口への相談先を把握しつつ、検索上の不安まで含めて早めに手を打つことが、被害の広がりを抑える近道です。
法務省でも、インターネット上の誹謗中傷やプライバシー侵害について相談や削除依頼方法の助言を案内しています。
まずは、自社名や個人名で何が見られているのかを冷静に把握することから始めてみてください。
表面上は落ち着いて見えても、検索結果の印象が信用を静かに削っていることはあります。
見えない不安を放置しないことが、信頼を守る第一歩です。
関連記事
・風評被害は犯罪!名誉毀損などデマ流布で問える刑罰と法律
・発信者情報開示請求の費用相場はいくら?弁護士に頼む内訳と相手への請求可否
・「サジェスト やめとけ」はサジェスト汚染?Googleでのネガティブな表示を消す原因と対策


コメント